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ネット上の危険対処とネットに関する迷信 こどもたちは十分理解 南アフリカ

BLOGOSに、調査報告に関する興味深い記事がありました。【南アフリカ共和国:「若者のインターネット上に潜むリスク対処に関する調査」ネット上のリスク、子どもたちは十分理解

この記事で紹介されている調査は、南アフリカ共和国での、インターネット上にひそむ危険に対するこどもの理解、対処能力に関する調査です。インターネットにひそむ危険に対して、こどもがどれだけ理解をしており、こどもたち自身がどのようにその危険に直面する可能性を減らし、直面した際にどのように対処しているか、という行動を調査するという目的で行われました。

南アフリカの93の学校を対象に行われた調査で、調査は13歳~18歳のこどもを対象に、アンケートやフォーカスグループインタビュー(※)などを行っています。ちょうど、日本の中学生+高校生の年齢層になりますね。なお、報告書の記載によると、南アフリカの中高生の携帯電話+スマートフォンの所持率は80%程度だそうです。東京都の2013年7月のデータでは、中高生の所持率は約90%程度だったので、そのデータと比較すると、10ポイント程度の差になります。
※フォーカスグループインタビュー:複数人(10人程度のグループ)を集め、特定の課題に対して、司会者の進行で行うインタビュー形式。

調査はユニセフ南アフリカ犯罪防止・司法センター(CJCP)で行っており、以下のサイトからPDFで報告書をダウンロードすることができます。Connected Dot Com: Young People’s Navigation of Online Risks

 

 

この調査では、その結果から、一般に信じられているこどものネット利用の問題に関する認識の間違えを指摘しています。これを、『ネットに関する迷信』として報告し、その結果から導かれる考え方を主張しています。その点に注目して解説していきたいと思います。(引用部分は、本記事で紹介しているBLOGOSの記事から引用)

迷信:ネットいじめなどインターネット上に潜むリスクは、すべての子どもたちの幸福で健康な生活を妨げる新たな脅威である

「リスクと危害(実害)は分けて認識すべき」、という主張です。「ネット上のリスクは脅威とは言えない」という意味では無いようです。
さらに、ネットいじめも暴力の1つの形態であると理解すべきと主張しています。日本でも、「いじめ」という表現が自体の認識を甘くしている、「”いじめ”ではなく、犯罪・暴力と認識すべき」という主旨の主張を聞くことがあります。これに類するものだと思います。
また、起こるかわからないリスクを避けるために、ネットの良い影響を妨げることが無いようにしましょう、とも言っています。

 

迷信:若者はインターネット上に潜む危険性を十分に理解していないため、保護されるべきである

「こどもたちは、ネット上にひそむ危険や、ネットを介して引き起こるリアルの世界での危険について、十分な理解を持っている。今回の調査で、その実質的な証拠を得られた。」、という主張をしています。南アフリカではそうなのでしょうか・・・。
日本では、それは十分とは言えないと感じます。例えば、出会い系の被害報告件数(人数)だけを取っても、平成24年度で約1,200件(人)の被害報告があります。日本の小中高校生の人数を約1,400万人とすると、確率的には0.01%以下に過ぎません。1万人に1人以下です。確かに、数の上では少ないと考えることもできるかもしれませんが、数の問題ではないことは言うまでもありません。また、出会い系だけ取っても、この数値です。他の犯罪被害を考えると、この確率はもっと高くなります。こどもは十分な理解を持っているので、「保護されるべきというのは迷信だ」と言えるものでは無いでしょう。

 

迷信:若者が直面するインターネット上のリスクや危険は、実質的な危害と同じである

1つ目の、「リスクと危害(実害)は分けて認識すべき」、という主張と似たような主張です。この点はその通りだと思いますが、この主張に関しては、「ネット上でこどもたちが直面するリスクが、リアルの世界での危害に発展するという事例は、極めてまれだろう」とも主張しています。この点に関しては、「数の問題ではない」と言いたいところです。

 

迷信:ソーシャルメディアやインターネットへのアクセスを制限することで、子どもたちを守ることができる

リテラシ・モラルの向上と守り方

リテラシ・モラルの向上と守り方

「子どもたちのアクセスを制限することは、別の懸念につながる」という主張です。
例えば、技術から得られる成長の機会を失ったり、最新技術の導入が進む学校などと比較して、後れをとる可能性がある、といったことです。また、社会的なつながりからの排除や、その他の危険が増す可能性もあるでしょう。
この主張には同意です。
ただ、1点追加しておきたいこととしては、「アクセス制限も併用すべき」ということです。こどもたちのITリテラシや情報モラル、さらには社会的モラル習得の達成度は、こどもそれぞれによって異なり、年齢の低いうちは、総じて十分とは言えないと思います。この段階では、フィルタリングや機能制限といった、「使わせない」仕組みで守っていく必要があると考えます。この点は特に、保護者が子供の成長をしっかり把握して、ペアレンタルコントロール(親による管理)を行うところです。そのためには、保護者もしっかり、スマホやSNSなどを初めとする、こどもを取り巻くICT(情報コミュニケーション技術)を理解する必要があります。

 

この調査の結果報告で主張したいことを一言で表すと、「確かに危険はあるけど、ネットを使わせないことむしろ有害だよ。」ということだと思います。

この点、同意です。こどもが最新の技術に触れ、成長・発達する機会を得る権利を、妨げることにはならないようにしたいものです。過干渉にならない程度にうまく守りながら、こどもが最新の技術を安全に利用できる環境を整えていきたいですね。

 


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