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知っていますか?「ゲーム障害」という新しい国際疾病

今回の記事は、WHO(世界保健機関)が新しい疾病と認めた「ゲーム障害」について、株式会社マモルの代表取締役 隈有子(くまゆうこ)さんに寄稿いただきました。

子どもの生活実態や親子でのルールづくりなどに詳しい隈さんならではの視点から、「ゲーム障害」とは何かをあたらためて学び、具体的な対策について考えるきっかけになれば幸いです。

どもがゲームをやりすぎていて困る。どこに行くにもゲームを手放さない、利用のルールを決めても破ってしまう、ゲームを終了させるよう促すと怒り出す…。

このままで大丈夫なの?と心配する保護者は少なくありません

新型コロナウィルスの影響で2〜3カ月程度の休校があった際にも相談がありましたが、例年と比べて短いながらも夏休みに期間においても、また同じような悩み相談が増えてきているように感じています。

 

ゲーム時間の現状、どのくらいプレイしていますか?

 

例えば、朝起きて10時から夕方5時までしたとしたらお昼ご飯時間を抜いても6時間になります。実際は夜もするでしょうから、1日中ゲームをしていたら1日8時間くらいになるでしょう。「子どもがそんなにゲームをするわけがない」と思っいてる方もいるかもしれませんが、

私が相談をうけるケースは、「子どもが1日中ゲームをやっている」というものがほとんどで、「1日とはいつからいつまでですか?」と聞くと、「朝起きてから寝るまで」が多いです。コロナ禍で外出が減り、特に夏休み期間は猛暑なため外出も少なくなり、ゲーム時間も増えているようです。一時も手放せないのか、外食中や歩きながらゲームをしている子どももよく見かけます。

 

ゲーム依存の定義?「やりたいだけやらせたら飽きる」は嘘!?

 

「ゲーム依存」という言葉をニュースやネットの記事で見聞きするようになって久しいですが、WHO(世界保健機関)が正式に、スマートフォンなどのゲームにのめり込み、日常生活に支障をきたす「ゲーム障害」を国際疾病として正式に認定したのは2019年5月のことです。

依存症状として見られる点として、最初はちょっとした楽しみで始めたゲームが、時間が増えていき、そのうちに、ゲームをするために睡眠時間を削ったり学校への通学に影響がでたりする。つまりゲームを手放せなくなり、健康、生活リズム、社会生活に影響がおこるようになります。

WHOの資料によるとゲーム障害と診断される可能性がある症状として、次のようなことをあげています。

(1)ゲームをする頻度や時間を自分でコントロールできない
(2)日常生活の中でゲームを何より優先している
(3)仕事・学業・健康などに支障が出ているのにやめられない
(4)この状態が12ヵ月以上続く

保護者のなかには「どうせ子どもはいつかはゲームに飽きるのだから、飽きるまで好きなだけとことんさせておけばいい」という方がいますが、これは年齢やその子の性格によります。いつか飽きるだろうとやらせていたら、飽きるどころかどんどんはまってしまい最終的に生活に支障をきたすまでになってしまったというケースも少なくありません。

そもそもゲームは依存性が高いものです。音、光、課金の仕組みなど、大人でもはまってしまうように作られています。ゲームには、ギャンブルのようなメカニズムが導入されていると指摘する声もあります。

ゲーム依存を防ぐには?もし、依存傾向が見られたら?

 

では、ゲーム依存を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。

やはり依存を防ぐには、当たり前ですがゲームと接触する時間を少なくしなければなりません。ただそのやり方として、ゲームを禁止したり一方的に「1日1時間」と時間を制限するのではなく、ゲーム以外の楽しみやおもしろさを教えてあげるのも保護者の役割です。

ゲームで遊ぶ時間を少なくさせた具体的な方法として、例えば下記のような事例がみられました。

 

未就学児~小学生低学年

・公園にいく時間を増やした。

・工作や絵を描く時間を増やした。

・一緒に料理を作ってみた。お手伝いをしてもらった。

・空いてる時間にクイズを出したりして親子で遊んだ。

 

小学校高学年~中高生

・自分が学生時代好きだった音楽を一緒に聞いたり、ギターを弾いたりしているうちに音楽に興味をもつようになった。

・身体を動かすように、スポーツをすすめた。

・一緒に簡単な筋トレやダンスをするようにすすめた。

・家族や知人と食事をする機会を増やした。

・ドラマやアニメの視聴をすすめた。

・学校行事の実行委員になることをすすめた。

 

今まで好きだったことや新しいことを問わず、ゲーム以外に好きなものができれば、違うことに興味や関心がうつるため、ゲームへの依存がなくなったようです。

 

また、保護者が考えるゲームのルールとして「宿題が終わったらゲームを1時間していい」というものがあります。これに対しては「ご褒美ありきで行動させるため、子どもにとってよくない」という人もいますが、私はそうは思いません。

 

条件が明らかにおかしなものであれば問題でしょうが、大人だって「仕事が終わったら飲みにいこう」や「映画をみよう」というご褒美を楽しみに頑張れる事もあるので、子どもにとっても例外ではなく、いい方法だと思っています。

 

このように、ゲーム依存を防ぐには、子どもの性格を見極め、どのルールなら本人に適応するかを試しながら、ゲームと上手に付き合うことが大切です。ゲームを楽しんだり、集中することは悪い事ではないので、ゲームそのものを否定しないようにしたいものです

 

おわりに

 

本記事を読みながら、もしかしたら「うちの子は、すでにゲーム依存気味なのかもしれない…」と不安に思われた方がいましたら、まずは下記の資料に掲載されているチェックリストを参照してみてください。

ゲーム障害について」(PDF版)

樋口進(独立行政法人 国立病院機構久里浜医療センター)

また、今年の6月には「全国の消費生活センターの窓口機能を強化し、当事者や家族からの相談を医療機関や民間支援団体に確実につなぐ仕組みを、本年度中に整備する」という方針が打ち出されたという報道がありました。

 

現時点でも、専門の相談窓口や診療所、自助グループの活動場所も増えてきていますので、ひとりで悩まず、また恥ずかしいことだと思わず、相談する勇気をもって治療の第一歩を踏み出してもらいたいと思います。例えば、ゲーム依存症の相談先一覧は、特定非営利活動法人アスクのサイトにまとめられています。

執筆者プロフィール

隈 有子(くま ゆうこ)

音響機器メーカークラリオン株式会社にてコンテンツ企画、マーケティングなどに従事した後、株式会社ディー・エヌ・エーにてモバイルコンテンツ企画、プロモーションを経て事業開発ディレクターとして独立。ワーキングマザー向けメディア立ち上げ等に関わりながら、多くの保護者と接点を持つ中で、以前から問題意識のあった「いじめ」を少しでもなくしたいという思いを強め、自身の強みであるwebマーケティングのノウハウをいかし2018年株式会社マモルを設立。いじめを未然に防ぐシステム『マモル』を開発する傍ら、イベント登壇、執筆などを行う。

HP : https://mamor.jp/

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