世界とつながる時代の子どもセキュリティ解説メディア

つながる世界の歩き方

完全削除を保証するのは不可能 使用法に注意『短期消滅型投稿アプリ』

『数秒後には永遠に消えるので安心です!』 というようなキャッチフレーズで、特に10代の子どもたちに人気の『短期消滅型の投稿アプリ』があります。最も有名なのは、Facebookからの30億ドルの買収を拒否した「Snapchat」でしょう。日本でも、リクルートの提供する「SeeSaw」、DeNAの提供する「5sec snaps」(2013/12/20に公開)などがあります。

 

今回この『短期消滅型の投稿アプリ』を取り上げたのは、米国においてSnapchatが10代のSexting(セクスティング)の温床になっているという指摘がずいぶんとされているからです。もちろん作成者の意図は、そういったところには無いと思います。基本的には残らないので、くだらないやりとりでも気軽にできるとか、ちょっとした愚痴などでもFacebookなどと違い、あとで親に指摘されるようなこともない。気軽にやろう。ということです。”SNS疲れ“という問題を解決する可能性もあります。そこが面白さであり、人気の理由でもあります。

 

数秒で消えるなら何を投稿してもいいでしょ

ダメです。
本題に入りますが、サービス・アプリ提供者側の立場であっても、完全削除を保証することは不可能です。
サービスを提供するシステム内においては、データを削除する、そもそも保存しない、という処理は可能です。しかし、それを閲覧するスマートフォンやパソコンなどの、利用者側の制御には限界があります。

方法はいくつかありますが、例えば以下のような方法で、閲覧中の数秒の間に、手元の端末に画像を保存することが可能です。

  • スクリーンショット
    画面の状態を画像として保存する方法です。Snapchatなどでは、スクリーンショットが撮れず、撮ろうとすると投稿者に通知される仕組みがあります。Seesawや5sec snapsでは、撮れるようです。
  • スクリーンショット拒否・通知を回避するアプリ
    Snapchat自体はスクリーンショットを撮らせないように作られていますが、それを回避するアプリが存在します。ただし、このようなグレーな機能を持つアプリの中には、個人情報を盗むためのアプリなどが存在します。別の被害が発生する危険があります。
  • 画面自体を撮影する
    ですが、スマホやPCなどの画面を、別のスマホやデジタルカメラで撮影します。やる方もだいぶ手間ですしだいぶ地味な手段ですが、これを止めることは難しいです。

 

また、Snapchatについては、閲覧対象の人が投稿を未開封のまま放っておいた場合、データはサービス側の機器(サーバ)に最大で30日間残っているそうです。警察が求めれば公開されます(リンク先は英語です)。つまり、「投稿後数秒で消えます」と言いますが、これは正確ではないということです。

これらのような可能性があることから、『完全削除』はありえません。「ヤヴァい画像を送ろう!」とかいう、何かを煽るようなキャッチフレーズは理解に苦しみます。作成者の意図を超えるような「ヤヴァい画像」がアプリを通して出回った場合、「そんなことになるとは考えていなかった」と言うのでしょうか。

 

使用法に注意

さて、危険の可能性を示唆してきましたが、タイトルにあるように、言いたいことは、『使用法に注意』です。本当に「ヤヴァい画像」を投稿しなければ、楽しめるアプリです。
Seesawのアプリ説明文には、

!!ご注意ください!!
写真・動画は一度見ると消えてしまいますが、スクリーンショット(画像保存)を使用すると受取った人が写真を保存できるので注意が必要です。

という説明があります。これは、Snapchatでのセクスティングの問題を認識しているからこそ記載しているのでしょう。

一方、5sec snapsの説明文には、

どうしても画像を残したければ制限時間内にスクショを撮れ!スクショを撮らない限り、画像は残らないぞ!

という記載があります。ちょっと、緩いですね・・・。
どちらもスクリーンショットを撮ると残るようなので、Snapchatのように”撮らせない”仕組みは未導入のようです。

 

SNS疲れ“が叫ばれる中、気軽につながれる人気のアプリですが、米国の事情から、一定の危険性があるということ、その内容を解説させていただきました。
既読とか画像が残るとか残らないとかの話の前に、「そもそもそういう画像を撮影するな。」という話はありますが、「どうせ消えるから大丈夫」という考えで、本当に「ヤヴァい画像」を投稿するようなことは絶対にしないでください。

繰り返しますが、インターネットにおいて、完全削除はあり得ません

 

※ 本記事を執筆してから約4カ月後に、Snapchatは「写真自動消滅はウソ」として監視処分を受けることになりました。本処分についての記事はこちら

 

 

 

  • Twitter履歴

  • アクセスランキング

  • 月別記事

  • Archives