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ネット上の自殺予告と対応状況 警察庁

2014/03/27に、当メディアでも何度か紹介している警察庁サイバー犯罪対策の統計ページにて、最新の統計データが公表されました。今回複数同時に公表されているため、3回に分けてご紹介したいと思います。
公表された統計データのタイトルは、以下の通りです。

 

(1)平成25年中の不正アクセス行為の発生状況等の公表について[H26.3.27掲載]

(2)不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況[H26.3.27掲載]

(3)平成25年中のサイバー犯罪の検挙状況等について[H26.3.27掲載]

(4)インターネット上の自殺予告事案への対応状況について[H26.3.27掲載]

 

今回は、4番目の「インターネット上の自殺予告事案への対応状況について」です。

 

平成25年中に都道府県警察がインターネット上の自殺予告事案についてプロバイダ
等から情報開示を受け対応した状況、についての広報資料です。

 

対応状況の推移

対応事案数としては、少し増えました。
対応事案数は243件、対応人数は254人です。これは、前年比+14件、+22人という数です。

グラフは上の通りになります。

 

認知の端緒

各都道府県の警察が、どこからの通報よってその自殺予告を知ったのか?というデータです。

通報者 H21 H22 H23 H24 H25 前年比増減
本人 13 件 13 件 16 件 10 件 16 件 +6 件 +60.0 %
一般 99 件 140 件 193 件 127 件 131 件 +4 件 +3.1 %
サイト管理者 74 件 101 件 100 件 63 件 65 件 +2 件 +3.2 %
インターネット・
ホットラインセンター
4 件 5 件 1 件 7 件 3 件 -4 件 -57.1 %
その他 33 件 21 件 19 件 22 件 28 件 +6 件 +27.3 %
合計 223 件 280 件 329 件 229 件 243 件 +14 件 +6.1 %

一般からの通報が多いですね。サイト管理者からの通報が多いのを見ると、しっかり書込み等を監視している管理者(運営・管理企業)は多いということでしょうか。

一方、警察庁から財団法人インターネット協会が業務委託を受け、違法・有害情報の発信に関する情報収集と対処を行っている、インターネット・ホットラインセンターという組織があります。これ、結構少ないですね。ホットラインセンターの公開する「数法受理件数の推移」データを見ると、かなりの数を受理しています。昨年の受理件数は196,474件です。この組織自体は、通報のための窓口としては、しっかり機能していると見えます。

これは、インターネット・ホットラインセンターは「殺人・爆破・自殺予告 など 緊急に対応が必要な情報は 警察に110番通報 願います」という方針であるためのようです。トップページの報告リンクの直下に、そのように記載があります。確かにそうですね。

※ このため、下記は訂正します。
ただ、「自殺予告も受け付けていますよ」というのが伝わっていない可能性があるのと、通報する一般人や管理人は、「すぐに警察に電話しよう!」と思うのかもしれませんね。

 

対応状況

通報への対応状況です。

H21 H22 H23 H24 H25 前年比増減
自殺により死亡 2 人 11 人 5 人 6 人 2 人 -4 人 -66.7 %
自殺を図ったが、救護等により存命 9 人 14 人 15人 4 人 7 人 +3 人 +75.0 %
自殺の恐れあり(説論等実施) 78 人 89 人 81 人 63 人 84 人 +21 人 +33.3 %
自殺の恐れなし(いたずら等) 104 人 128 人 167 人 130 人 128 人 -2 人 -1.5 %
書込者が判明せず 35 人 46 人 65 人 29 人 33 人 +4 人 +13.8 %
合計 228 人 288 人 333 人 232 人 254 人 +22 人 +9.5 %

「自殺 のおそれあり(説諭等実施)」が増えています。

これは、「通報してもらう」ための取組みが、例年よりうまく機能した、もしくは認知度が上がったということでしょうか。ここには通報されたものだけだと思うので、実は氷山の一角で、実際には自殺予告の総数が増えている、という見方もできます。いずれにせよ、「自殺により死亡」が減り、救護、説論が増えたのは成果だと思います。しかし、いたずらの件数は毎年相当の割合ですね。半分くらいはいたずらですね。

 

自殺予告と対処の事例

2件の事例が載っているので下記に引用します。

自殺願望者であることを装って書込者を発見し保護した例

A警察は、インターネット掲示板に集団自殺を呼びかける書き込みがあるとの通報を受け、掲示板管理者等に対する緊急照会を実施し、契約者情報等を把握するとともに、自殺願望者であることを装って、書込者が掲示していたメールで連絡を取り、書込者と某駅での待ち合わせ約束を取り付けるなどして、同所付近を検索した結果、警察官が発見し保護した。なお、書込者と一緒に自殺するつもりで行動していた者1名も保護した。

 

薬物を服用した書込者を発見し救護した例

B警察は、電子掲示板に自殺をほのめかす書き込みがあるとの通報を受け、掲示板管理者等に対する緊急照会を実施し、判明した契約者情報からC警察管内の書込者を特定し、C警察に対して書込者の保護依頼を行った。保護依頼を受けたC警察は、書込者の自宅において、薬物を服用した状態の書込者を発見し、救急隊に連絡して救護した。

まさに、「見つけなければ死んでいたかも・・・」という事例ですね。
人命の保護に、直接的に効果のある活動と言えるのではないでしょうか。大事ですね。

 

 

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