SNS消費者トラブル過去最多 実態とトラブル対策
日本経済新聞に、下記の記事が出ていました。
SNSの消費者トラブルが最多 13年度、国民センター集計 (2014/05/19の記事)
交流サイト(SNS)利用時の消費者トラブルに関する相談件数が、2013年度に過去最多となったことが19日、国民生活センターの集計で分かった。
国民生活センターを見ると、19日の資料は見当たらず、集計報告は4/24の資料なのですが、発表元の資料を見ながら解説します。資料はこちらです。
こちら、調査による集計データと、事例、対策まで一貫した発表となっており、とてもわかりやすい、為になる資料だと思います。
実態
SNSに関連した相談件数は年々増加。2012年度の件数を2009年度の件数と比較すると、1.94倍(2009年度:2,518件、2012年度:4,878件)。また2013年度においても、2012年度の同期よりも多く相談が寄せられている。
今回(5/19発表)、この2013年度の集計結果が、過去最高のものになった、という記事のようです。
日本経済新聞の記事を引用すると、
国民生活センターによると、13年度中に全国の消費生活センターに寄せられたSNS利用時の相談件数は、今年5月2日までの集計分で4982件。09年度の2518件からほぼ倍増し、過去最多となった。SNSに表示された広告などに関する相談も同年度比約3倍の440件となっている。
とのことで、昨年の件数は4,878件ですので、これを上回る数に上る結果となりました。
事例
実際に、どのような相談ケースがあるのでしょうか。これは、国民生活センターの資料の方に事例があります。
SNSに表示された広告がきっかけとなったトラブル
『SNSの広告を見て「お試しサプリメント」を注文したが、定期購入になっていた 』、『ネットでしわ取りクリームのサンプルを申込んだが、定期購入になっていた』という2件の事例です。
キャンセルや注文履歴の確認はできないのか?と思うところですが、
- 受注メールも何も手元には届いていない
- 外国から注文品が届いた
- 数日後、また荷物が届いた
- クレジットカードの利用明細を見て、定期購入になっていた
- SNSサイトで調べても、そのサプリメントを購入した際のホームページを見つけられない
- 商品の発送伝票には外国の住所らしき記載はあるが、電話番号の記載がなく、連絡ができない
- 広告や注文時の画面を残しておらず、販売している事業者のホームページも検索できない
これはかなり悪質と見えます。
SNSはこどもも利用します。クレジットカードの利用ができないので、今回のケースには該当しないかもしれませんが、こどもがこのような被害に遭うケースも十分考えられます。
また、この広告ですが、【ターゲティング広告】という広告方式を悪用しています。ターゲティング広告とは、SNS利用者が登録している性別や生年月日、趣味・嗜好などのプロフィールをもとに提供対象を絞り込んで表示する、まさにクリック・購入してくれるターゲットを絞り込んで提示する方式の広告のことです。この方式自体は一般的なものです。
国民生活センターでは、
ターゲティング広告は、1度クリックすると、その後は表示されなくなるなど、短期間しか表示されないケースが多く、トラブルの発覚後に契約の中身や商品のサイトを確認できないことも少なくないという。
と説明しています。まさに、『SNSサイトで調べても、そのサプリメントを購入した際のホームページを見つけられない』、『広告や注文時の画面を残しておらず、販売している事業者のホームページも検索できない』という事態が発生しているのは、この仕組みを悪用しているからと考えることができます。
SNSの知人がきっかけとなったトラブル
2件あります。1件目は、 『SNSで知り合った相手から出会い系サイトに誘導された』という事例です。
連絡方法変更を装い、出会い系サイトに誘導します。そこから、登録のため、サービスの利用(この場合はメールの文字化け解除・・・)のために、「会ったとき返すから」と、お金を請求するというものです。
2件目は、『SNSの知人から、マルチ商法に勧誘された』という事例です。
ずっと会っていなかった同級生に、化粧品を販売するネットワークビジネスを紹介、勧誘されて困っているという事例です。
もはやネットとか関係ないのでは、とも思いますが、案外そうではありません。
SNSが普及したことで、いままで連絡を取っていなかった、それこそ20年、30年と会っていなかった人と再度つながることができます。この関係の再構築を逆手に取り、マルチ商法などを勧誘する手段としているケースです。ある意味友達を使い捨てにするようなやり方だと思います。20年、30年会わなくても問題なかった間柄だからこそ、壊れても構わない関係という考え方をしているのではないかと思います。そのように確信してやっている人がいるのだと推察します。
対策
国民生活センターでは、以下のような対策をアドバイスしています。補足も加えつつ、紹介・説明いたします。
SNSに表示される広告や、登録する情報の確認をする
SNS上の広告のみでなく、広告からリンクされた先の通販サイト等の内容も確認する
広告出稿企業は、広告を提示しているSNSなどのサイトとはまったくの無関係であるということがよくあります。むしろその方が多いのではないかと思います。広告からリンクされた先の通販サイトの内容、特に利用規約や返品規定などを確認します。
それ以外にも、【特定商取引法】というものがあり、インターネット通信販売業を行うものは、特定商取引法によって定められた事項をあらかじめ明示しなければならないとされています。たとえば、以下の事項について記載の無いサイトを、安易に信じるべきではありません。
- 事業者の名称・法人の場合は代表者名称
- 事業所住所
- 事業所電話番号
- 販売価格
- 商品代金以外の必要料金
- 支払方法
- 支払時期・支払期限
- 商品の引き渡し時期
- 保証について
- 返品について
SNSに登録・掲載する情報についてよく確認・検討する
SNSに登録・掲載する個人情報については、どのように広告等へ利用されるのか、その範囲について、利用規約やプライバシー・ポリシー等に説明されています。そのうえで、広告の表示等について制限をかけられる場合は、その対応を行うことを検討してください。
たとえばFacebookですと、[設定] > [広告] で設定できます。
SNS上で知り合った相手の書き込み内容等を、全てうのみにしない
SNSに限らず、インターネット上では匿名でのやり取りが可能です。本名のように見えても、偽名ということもあります。
友達のように思いこんでしまっても、実は「なりすまし」ということもあり得ます。SNS上のみでやり取りをしている相手の場合、SNS上のプロフィール情報が本物である保証はどこにもありません。
最後の対策はそのまま引用します。
トラブルにあった場合、消費生活センターに相談する
SNSの広告を見て商品を購入したり、SNSの知人から勧誘されて契約した取引について、解約したいときや契約に疑問を持ったときは、最寄りの消費生活センターに相談する。
被害に遭うのは大人だけではない
なお、これらは年齢に関係なく、注意すべきものです。
同資料に掲載の『SNSに関する相談の契約者年代別傾向』を引用します。19歳未満の相談件数も10%台を維持し続けています。
保護者の方々はご自身のみならず、お子様の利用状況なども継続的に確認していくようにすべきと思います。