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写真自動消滅はウソ 人気の『短期消滅型投稿アプリ』で処分 Snapchat

以前、完全削除を保証するのは不可能 使用法に注意『短期消滅型投稿アプリ』にて、当メディアでも取り上げた閲覧後に数秒で投稿した画像が消えることで人気のスマートフォンアプリ、Snapchatの記事です。

FTC(米連邦取引委員会)は、「受信者に届いた写真が自動的に消滅すると虚偽の宣伝をしていた」ということと、「個人情報の管理にも問題があった」ということで、個人情報の取り扱いについて、20年間の監視処分を決定しました。

 

人気スマホアプリで処分=「写真自動消滅」はうそ-米FTC(2014/05/09の記事)

FTCプレスリリース(英語)(2014/05/08の記事)

 

受信者に届いた写真が自動的に消滅すると虚偽の宣伝をしていた

どのように虚偽として指摘されているのか、について説明します。

指摘は「自動的に消滅するという宣伝は虚偽」というものです。
まず、Snapchat自体が、写真や動画を削除せずに保存していたという話ではありません。
「利用するユーザ側、写真や動画の受信者が、意図してそれらを保存しようとする場合、これを実現する方法がいくつかある。」ということを指摘しています。英語の方のFTCのプレスリリースでは、この方法をいくつか例示して説明しています(ここでは1つ1つは説明しません)。

その中の1つに、以前当メディアでも紹介した、『スクリーンショット拒否・通知を回避するアプリ』を利用する方法が説明されています。スクリーンショットとは、表示中の画面を画像として保存する、一般的な機能・およびその画像のことです。
Snapchat自体はスクリーンショットを撮らせないように作られており、スクリーンショットを撮ろうとすると、送信者に通知されるように作られています。それを回避するアプリが出回っており、数百万回ダウンロードされていると指摘されています。

Snapchatは今回、「自動的に消滅するという宣伝は虚偽」と指摘をうけました。以前の記事でも記載していますが、「完全に自動消滅します」という宣伝は、実現不可能であり、それをPRしてしまったことは、認識が甘かったと言わざるを得ないでしょう。また、作る側のエンジニアの立場であれば、この点は気づける問題だと思います。あるいは認識の上でやっていて、「第三者が回避策を提示することは、自分たちには関係の無いことで、処分されるとは思ってもみなかった。」という考えだったのではないか、と疑いを持ちます。

 

個人情報の管理にも問題があった

この点は日本語記事には説明が無いものが多いのですが、FTCのプレスリリースから読み解いて説明します。

「利用規約に、収集すると記載の無いデータを収集している。」という指摘です。具体的には、以下2点です。

  • 位置情報
  • アドレス帳の情報(名前、電話番号など)

また、「友達検索」にも不備があり、実際には友人とは異なるユーザを、友達として認識してしまう点も指摘されています。アドレス帳に登録されている番号と、実際に今その番号を利用している人物との不一致が起こり、本人かどうかを確認するために、個人的な写真を送って確認を取らざるを得ないという実態があるようです。これは携帯電話会社の電話番号の割り振り方にも依存しているので、機能としては安易な作りであったということでしょう。
同様の機能は他のサービスでもありますが、同様に問題を指摘されているものがいくつもあります。

 

Sexting(セクスティング)やSelfy(Selfie:セルフィー)などの問題に関連の強いサービスに対する処分が決定されたことは、問題を再認識する上で大きな決定だと思います。
日本国内においても、Snapchatと同様なコンセプトのスマホアプリがいくつか出ています。それらも同様に、「完全削除はない」と認識した上で使う必要があります。このようなコンセプトのアプリだけでなく、どのアプリを使おうと、インターネットにおいて、完全削除はあり得ません。ついでに言うと、完全匿名も完全クローズド環境もありません

写真や動画に限らず、ネット上に何かをアップロード・投稿する場合は、常にこれらの認識を忘れないようにしましょう。

 

 

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