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警察勤務時に見た、子ども達が巻き込まれるネットトラブル<後編>

前回にひつ続き、少年問題アナリストの上條理恵氏に最近の事例についてお聞きしました

 

前編では少年問題アナリストの上條理恵氏に、青少年がネット・SNSを利用する中で遭遇する事件やトラブルについて紹介していただきました。今回はその後編になります。

 

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先日、バスに乗ったとき、ある母子が乗ってきました。お母さんは赤ちゃんを抱っこして、2歳ぐらいの女の子をベビーカーに乗せていたのですが、その女の子がぐずりながら暴れてベビーカーからずり落ちてしまったのです。それでもお母さんはずっとスマホをいじっていたのです。さすがに私もその状況を見てどうかと思いましたが、あるご高齢の方が、「スマホを見ないでちゃんと子どもさんを見ていなさい。」と仰ってくださいました。

 

二つの世界・・・

時代の流れとともに、子どもが住む世界も変容を見せています。子どもは現実の世界と、SNSの世界の「二つの世界」に生きていると言っても過言ではありません。ただ、SNSの世界はほとんどが「無音の文字の世界」であり、相手の気持ちを汲むことが難しくなりつつあります。

 

例えば、最近の若い人たちは、よく「ヤバい」とか、「ヤバくね」という言葉を使いますが、彼らのその言葉の意味は、「すごい!」、「とってもすごくいいよね!」というvery goodという意味に使われることが多いのです。我が息子も、おいしい=ヤバくね、とか、とってもおいしい=ヤバい、ヤバい、ヤバうまいとか訳の分からない日本語を使ったりするのです。

 

親としては、ヤバい!と言われた瞬間に、お料理に虫でも入っていたか?とドキッとするわけですが、最後まで聞いていくと誉め言葉だったりするのです。よく、日本語は最後まで聞かないとわからないといいますが、若者言葉も理解するのに時間が必要なのです。

 

このように、文字だけ見ると、否定文になっていることがあり、メッセージは受け取り側によって、いくらでも内容が変わってしまうことが心配されます。これを現実の音のある世界であれば、アクセントやイントネーションによって相手に正しく理解されるのですが、子ども達の場合は、素直なので、送信者の意図と真逆な意味に受け止めてしまうことがあり、トラブルに発展していくのです。こうして考えてみると、今の子ども達は大変ですよね。精神的にも疲れてしまうのではないでしょうか。あまり、SNSの世界に振り回されることなく、楽に生きてほしいものです。そうでなくても、現実の世界は厳しいのですから。

 

親子でSNSのメッセージ

子どもが手にしているスマホの中では、親の知らない世界がどんどん広がっています。以前のように、子どもの友達が把握できないレベルではなく、無限大に広がってゆくのです。もしかしたら、犯罪者や危険な人物にも繋がっているかもしれません。スマホの登場で、親子の関係も変わり始めたような気がするのも私だけではないのではないでしょうか。街頭補導などで出会った子ども達の中で、親の携帯電話の番号を知らない子どもが増えてきました。それは、無料のSNSで通話が可能だからだというのです。

 

少年たちの話を聞くと、親子の会話はほとんどなく、SNSでのやりとりで十分なのだそうです。でも、本当にそれでいいのでしょうか。時代は変わったなぁと思うことばかりですが、親子の会話がSNSというのはいかがなものでしょうか。確かに思春期の子どもとの親子の会話はなかなか難しいかもしれませんが、せめて、家庭内では会話を楽しんでほしいものです。

 

一方で、悪いことをしてしまったとき、面と向かって謝ることが照れくさくても、SNSだと「ごめんね」の一言が書けたりすることはありますので、難しいと思いますが、人は人でなければ育ちませんので、子どもとのSNSのやりとりは、最低限にしたいものです。

 

個人情報に要注意・・・

私たち大人もスマホを利用していますが、なぜ子どもが利用すると危険だといわれるのでしょう。実際、子ども達は経験値も低く、自分自身をコントロールする能力も乏しいので、どこまでだったら安全か、どこから先は危険なのかということがわからないからです。

 

例えば、無料のサイトがあったとします。個人情報を求められたときに、大人であれば、「あれ?ここまで個人情報を求められたらちょっと危険じゃないかな」という勘が働きますよね。ところが、子ども達は、まず、無料という言葉に釣られ、画面の指示通り個人情報などを入力してしまうのです。ですので、子ども達向けの講演会では「危険予知能力」を養うべく、画面の中の知らない相手には気をつけなさいと言っています。

 

結局傷つくのは子ども達なのです。子どもを食い物にする悪い奴は決して許せません。目の前に割れた花瓶があったとします。その花瓶が割れてばらばらになってしまい、瞬間接着剤で見た目は元通りになったとしてもひびは残りますよね。それを治そうとしたところで、決してそのひびが無くなることはありません。傷つくとはそういうことだと子ども達に伝えています。

 

私はいつも思うのですが、スマホが悪いのでもサイトが悪いわけでもありません。それをどう使うのかは私たち自身の問題なのです。是非正しい利用法で楽しく使いましょう。
そして、子ども達が加害者にも被害者にもならないよう、私はこれからも講演会を行っていきたいと思います。

 

執筆者プロフィール

上條理恵

少年問題アナリスト
元上席少年補導専門員
東京経営短期大学 特任准教授

 

 

 

 

小学校、中学校、高校の講師を経て、1993年より、千葉県警察に婦人補導員として、青少年の非行問題(薬物問題・スマホ問題・女子の性非行)・学校との関係機関の連携・児童虐待・子育て問題に携わる。
小・中・高・大学・保護者・教員に向けた講演は1500回以上。
「金持ちより人持ち」をモットーに人間関係の大切さを伝える。
学会活動として、非行臨床学会の会員としての活動も行う。

 

 

記事担当:青木


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