メタバースの「ワールド」で観光してみませんか?
これまで2回にわたって、きょーりゅー氏にメタバースについて書いていただきました。シリーズ最終回の今回はVRChatの「ワールド」について解説していただきます。
メタバースには色々なワールドが存在し、そこに入ることにより交流ができます。私の住んでいるVRChatの世界では、ワールドは数えられないくらい存在していて、見つけるのも結構大変だったりします。そんなワールドについて、今回は書いていこうと思います。
「ワールド」とは
「ワールド」についての簡単な説明をします。
VRChatのワールドは、必ず誰かが作成したものになります。誰かが作ってくれたワールドに、お邪魔するという感じです。例えば、温泉を掘った人が「ここに温泉があります!誰でもどうぞ!」としている場合は誰でも入れます。入場料はかかりません。反対に、「ここは私がいる時しか開場しません!」としている場合は、作った本人が開場していないと入ることができません。これも入場料はかかりません。
ワールドは、誰でも入れる状態で開いている空間がほとんどです。旅行に行き、行き先に観光客がいるのを想像してもらえるとわかりやすいかも知れません。VRChatは海外のサービスなので圧倒的に海外の方が多いです。フラッとワールドに行くと、英語が聞こえてくるなんてよくある話なので、あまり驚かないでくださいね。
おすすめワールド紹介1 「Amebient」
こちらのワールドは、一見するとただの廃墟ですが、それだけではありません。小物を雨つぶの位置に持っていくと音が鳴るというギミックがあるワールドです。お鍋や鉄パイプ等をいろんなところに配置するなどして楽しむことができます。
しばらく音を楽しんでいると、洪水になってしまいます。そのまま屋上にいくと、とあるヒントが隠されています。色々と謎があるワールドですが、ここではあえて詳しくは書きません。ぜひ謎を解いてその先へ進んでみてください。
ちなみに私はこのワールドを初心者の方に勧めることがあります。物をつかんだり、様々な基本動作を学ぶのに適しているためです。交流を楽しむことがメインのワールドでは無いので、一人で色々な動作などを試してみるのもよいです。VRChatを初めて間もない方は、このワールドで遊んでみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
おすすめワールド紹介2 「胡蝶庵」
こちらのワールドでは、書道体験ができます。VRゴーグルをお持ちであれば、より繊細なタッチで、よりリアルに書道が楽しめることで話題のワールドです。誰かが入っているワールドにいくと、皆さん色々な楽しみ方をしているのが見られます。ここに集まるのは日本人が多いのですが、日本文化に興味を持った外国人ユーザもいるようです。一人でもくもくと書いている人もいますし、お互いに作品を見せ合ってワイワイ楽しんでいることもあります。
言葉が通じなくても絵や文字を書いてやりとりができるワールドなので、会話ではないコミュニケーションを楽しんでみたい人にもお勧めです。
VR書き初めは是非、胡蝶庵でやりましょう。
おすすめワールド紹介3 「ポピー横丁」
こちらのワールドは、新宿にあるゴールデン街がモチーフになっているとかいないとか。路地裏にある飲み屋が軒を連ねる、どこか懐かしいワールドです。
よく日本人のVR飲酒勢がゴロゴロしているところでもあり、海外の方がどこかでおしゃべりしているなんて光景もよくみます。
私が記憶している限りだと、弾き語りをやっている方もいらっしゃいました。ワールドによっては、近づくと音が大きくなる場合があるので、リアルに感じることができると思います。ただ、実際の音はマイク越しに本人が楽器を弾いて聞こえてくる音なので、アバターの口から音楽が出てくるというちょっとシュールな絵面になります(笑)
本記事内で挙げているワールドの中で、最も交流を目的としているワールドです。お酒を飲みながら来ている人もちらほらいます。酔っぱらってる人は気さくに話しかけてくれたりしますが、気を付けてコミュニケーションを楽しんでくださいね。
おすすめワールド紹介4 「Udon Bird Sanctuary」
最後におすすめするワールドはポツンと佇む孤島「Udon Bird Sanctuary」です。鳥がたくさんいるこの島では、鳥に餌を与えることができます。テーブルの上の食べ物を持っていると、我慢できずに鳥がこちらに寄ってきて、食べ物を欲しがります。食べ物を与えきってしまうと、興味がなくなるのか、方々に散っていきます。たまにレアな鳥が来訪するようですよ。
お友達と談笑しながら観光気分が味わえるこのワールドは、初心者の方に特におすすめです。餌をあげることを楽しむことがメインなので特別な知識も不要です。このワールドで愛らしい鳥とたわむれてみてはいかがでしょうか。初心者の方で観光を楽しみたい方はこのワールドがお勧めで、ゲーム性(謎解き)を楽しみたい初心者には先述したAmebientがお勧めです。
仕掛けの多いワールドには色々な意図が!
謎解きワールドでは、作者さんの様々な意図があります。ひとえに謎解きワールドと言っても、答えに辿り着くとこの空間がもっと好きになる謎解きや、謎解き要素のあるホラーワールドなんてのも存在します。
皆さん想い想いに作られたワールドに入ることになりますので、是非意図を汲み取って、自由な発想で楽しんでみてください。
まだまだたくさんおすすめワールドが!
全部を紹介することができないのが残念ですが、主に初心者が観光する上で楽しめそうなワールドを紹介させていただきました。
ワールドは、クリエイターさんの善意によって作られています。みんなで過ごすこの世界、作るのも一筋縄ではいきません。Unityというソフトを使いこなせないと作れないという、初心者には難しいかもしれません。ですが、作り方さえわかれば、みなさんも自分の思い描いたワールドが作れると思います。是非頑張ってみてください。…私は作れませんでしたが。
他にも、ゲームができる、ビリヤードができるなど、娯楽に困らないVRChatです。みなさんも、是非VRChatでお気に入りの場所を見つけてみてください。
最後に注意点です
今回は上記4つのワールドを紹介してきましたが、初心者がいきなりVRChatのこれらのワールドに飛び込むのは注意した方がいいでしょう。VRChat内には他人に不快な思いをさせる行動をとる人も稀にいます。そういう人に突然絡まれて嫌な思いをしたという話を耳にすることがあります。
そういうときはすぐにワールドから出るようにしましょう。相手をブロックすることも可能ですが、ブロック操作は少し難しいのでワールドから出てしまうほうが簡単で良いです。どうやら私が見ている限りでは日本人は我慢することに慣れているようで、VRChatで何か不快な行為をされても耐えようとしてしまう人もいるようです。嫌なことがあったら我慢せずにワールドから出てしまいましょう。
できれば初心者はいきなりVRChatに飛び込むのではなく、詳しい人に案内してもらいながら徐々に慣れると良いと思います。では詳しい人とどうやって仲良くなるかというと、Twitterで探すと出てくるので、そういう人たちと少しずつ仲良くなれると良いかと思うのですが、それはそれでTwitterで怪しい人と知り合ってしまうのもリスクなので、最初の入口が難しく、その点は悩ましいところです。今後、もっと初心者の方が安心してVRChatを始められるような環境が整っていくといいなと思っています。
<編集後記>(編集:青木)
第3回目の記事ではVRChatのワールドについて書いていただきました。
元々、私は普段メタバースに触れているという実感はありませんでした。しかし、これまでの3回の記事を読みながら、厳密な定義としてはどうか分かりませんが、子どもたちに大人気のSNSやオンラインゲームもメタバースのひとつなのだと思いました。そういう意味では、今後も安全安心なインターネットの使い方を伝えていく身としてはメタバースについてもっとよく知っていかなければならないと感じました。
今回は実際にプレーヤー視点からのお話を直に伺うことができました。知識として知らないことも多々ありましたが、色々と話を伺いながら感じたのは、やはり教わる側が体験してみないとわからないことがたくさんある、ということがわかりました。私自身も情報モラル教育に携わる立場として、できる限り実体験を通して自分で理解しつつ、安全安心な使い方を伝えていきたいと思います。
プロフィール
幼少の頃からメタバースに触れ、その魅力に溢れた世界の虜になり現在に至るまでにプレイしたオンラインゲームは数知れず、交流は多岐に渡る。主な生息地域はVRChatというメタバースだが、最近はTwitterに浮気がち。
名前 :きょーりゅー
Twitter:https://twitter.com/vtuber_kyoryu
HP :https://www.kyoryu-san.info/