出会い系被害 実際は出会えない系 不正スマホアプリも利用
出会い系の被害にもいくつかのパターンがあるのですが、そのうちの1つについてです。
MSN産経ニュースWESTに「“出会い系”の罠、メール1通200円に10万人…サクラはこの道13年のベテランも、違法アプリ駆使の実態」という記事がありましたので紹介します。
登録者数約10万人、売り上げは約8億4千万円に上っていたが、やりとりする相手はわずか10人前後の「サクラ」だった
この事件の手口には、大きな2つのポイントがありました。
1.不正アプリを利用した会員集め
「電池革命」という、スマートフォンの電池を長持ちさせるという(実際には長持ちしない)スマートフォンアプリを無料配布し、それをインストールしたスマートフォンから、電話帳情報をごっそり取得してしまいます。
電話帳に登録されていたアドレスに、「電池革命」の宣伝メールを送り、さらにアプリユーザを増やし、電話帳情報を抜いてしまいます。こうして集めたアドレスに、出会い系サイトのリンクを記載した宣伝メールを流します。興味を持ったり、間違ってメールに返信してしまっても、強制的に会員登録されてしまう仕組みです。
そしてこれを、延々と自動で繰り返します。自動で会員が増えて行きます。そして10万人もの会員数になりました。最終的に保有していたアドレス総数は、なんと36億件以上にもなったそうです。脅威的です。
ところで、「なんで勝手に電話帳情報なんて取得できるの?」という疑問を持たれた方もいるかもしれません。勝手には取っていないのです。
スマートフォンアプリケーションは、アプリをインストールする際に、どのようなデータにアクセスするかを許可する画面が出てきます。この画面の記載をよく読まず、利用者自身が許可を出してしまっているのです。
警視庁のWebサイトに、このようにして本来アプリには不要なデータを取得されるケースについて、注意ページがあり、詳しい解説がありますので、画像と共に紹介します。
2.囲い込み、課金させる「サクラ」の手口
不正なものに限らず、”出会い系”サービスでは、サイトやサービス、アプリ内で、会員同士がメッセージ交換や通話などの機能で交流してくれることで課金が発生し、売上があがるというモデルです。つまり、サービスの外で交流され、本当に”出会って”しまうと、それ以降儲けることができなくなります。
このため、”出会い系”サービスでは、会員を囲い込み、できるだけサービス内で出会いを求めて交流し、お金を支払い続けてもらえるようにします。
今回の事件では度を超えたもので、会員との交流は、ほぼ全てサクラによるものでした。
これは、完全に“出会えない系“サイトとして運営していたということです。一般会員同士の交流も、実質行われないようにしていたようです。
売上は8億4000万円。8億円以上のお金が”出会えない”にも関わらず支払われていたことになります。
出会い系サイトにはサクラがつきもの
この記事で一番伝えたいことはこのことです。「そりゃそうだ。」と思う人も多いかもしれません。その通りです。サクラの暗躍により、”出会えない”サイトは圧倒的に多いです。「今まで一回も会えたことない」という話もたくさん聞いたことがあります。むしろ、「出会えた」という人の方がめずらしいです。(その場合はその先に詐欺や、美人局(つつもたせ)の罠がある、という被害パターンも存在します。)
今回の事件でサクラとしてアルバイトをしていたもののうち、
別のサイトを含めて、サクラ歴は13年
という者もいました。13年間、サクラ労働の需要があったということです。
『出会い系サイトにはサクラがつきもの』と言うのに十分な証拠と言えるのではないかと思います。
大人の多くは、「そりゃそうだ。」という話だと思います。(とは言え、実際この事件だけで8億円も騙されているという話もあります。)
こどもに関しては、以前、「出会い系サイト被害減少?被害現場はコミュニティサイト、そしてアプリへ・・・」で紹介したように、こどもの”出会い系”問題は、出会い系アプリに主戦場を移し、被害は継続中です。
出会うつもりもなく、ゲームのような面白半分な感覚で始めた”出会い系”だとしても、いつのまにか相手のペースに乗せられて、ついつい信用できるかな、と思ってしまって・・・被害に遭うということがあります。そもそも使わないことが望まれますが。
『出会い系サイトにはサクラがつきもの』です。相手はあなたが想像しているような人物とはまったく別人の可能性があります。そもそも性別から異なるかもしれません。
この事件の手口と、サクラ歴13年という人もいる、ということを知り、少しでも被害が減れば良いと考えます。