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「自覚がある」ストレス解消・現実逃避 高校生のネット依存傾向 総務省

総務省 情報通信政策研究所は2014年5月14日、「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査 <速 報>」(PDF)を発表しました。

これは、日本の高校生の中で最もネット利用が進んでいると考えられる、東京都内の高校154高、約15,000人を対象に行われたアンケート調査です。2014年1月に行われました。
この調査は、スマートフォン・アプリの利用実態、家庭や友人関係などの利用を取り巻く環境、及びこれらとネット依存傾向の関係を分析することにより、依存傾向に陥りやすい環境等を明らかにすることを目的としています。

 

インターネット依存尺度の定義

「若者のインターネット依存が大変なことになっている!」といわれて久しいですが、いままで調査方法は独自色があり、まちまちなものでした。「それホントに依存なの?」というような結果も目にしたことがあると思います。今回の調査では、

「ネット依存傾向」については、心理学者キンバリー・ヤング博士の提唱した20項目のインターネット依存尺度を参考に調整したものを用い、ヤング博士の手法に従い、点数に応じて「高」「中」「低」の判定をしている。

ヤング博士の尺度は、世界的に最も幅広く用いられており、学術的な研究例も多い。

ということで、心理学の研究に基づいた調査方法ということです。依存尺度を測るための質問事項は20項目あり、その項目も発表資料の5ページ目に記載されています。
また、下記引用のように現代の環境に合わせた断りも入れており、過剰に注意喚起しないところに信頼性を感じます。

しかしながら、スマートフォン等によるネットへの常時接続、ソーシャルメディアによるコミュニケーションの一般化等の昨今の環境変化を必ずしも踏まえていない。この結果、尺度の時代適合性に課題が生じ、現在の基準で依存傾向「高」に分類された者は、ネットの活用度が高いとは言えるものの、必ずしもいわゆる「ネット依存」として医学的な治療が必要な者とは限らないと考えられる。

 

調査結果

以下で、速報概要に沿って、調査結果をピックアップして説明していきます。
また、比較においては、全体と依存傾向「高」との比較を示します。

依存傾向「高」の割合

調査対象の高校生全体で、ネット依存傾向「高」の割合は4.6%となっています。

男子3.9%、女子5.2%と女子の方が高く、
学年別では、1年生5.2%、2年生4.8%、3年生3.7%と低学年の方が高くなっています。

 

ネット利用時間についての比較

何も記載がありませんが、1日の利用時間だと思います。
全体に対し、依存傾向「高」の生徒は、2倍前後の時間利用しています。「高」の生徒は、その他の生徒と比較し、パソコンを多用する傾向にあると見えます。逆に、スマートフォン/フィーチャーフォンの携帯電話は、その他の生徒も普段から利用しているため、倍率ではあまり差が出ません。

高校生のネット利用
-機器毎の利用時間
パソコン スマートフォン/フィーチャーフォン タブレット
全体 40分 161.9分 13.6分
91.9分 262.8分 25.5分
倍率:高/全体 2.3倍 1.6倍 1.9倍

また、全体で見たときのの利用内容としては、PC・タブレットでは、主に動画、ソーシャルメディア(読み+書き)、オンラインゲームの順に時間を割いています。ブログやニュースサイトなどはあまり見ないようです。(1日3分程度)
スマホ・フィーチャーフォン(従来携帯)では、主にソーシャルメディア(読み+書き)、動画、オンラインゲームの順に時間を割いています。

依存傾向「高」の生徒は、ニュースサイトの利用時間もその他の生徒より多くなる傾向があります。『世の中の情報を得るのも、ネット』ということでしょう。(ちなみに、この傾向は10代よりも20代の方が顕著です(リンクはPDF)。このデータについては後日ご紹介いたします。)

スマホ利用率は84.5%。2013年の夏は74%だったので、増え続けてます。これは必然だと思います。
なお、ネット依存傾向の高さと、スマホの利用有無は関連が薄いようです。

 スマートフォン利用の
有無と依存傾向
利用している 利用していない
87.3% 12.6%
88.2% 11.7%
80.0% 19.8%

 

日常生活への影響の自覚についての比較

「ネット依存傾向の自覚について質問する」という設問は新しい気がします。こども自身も、依存傾向には気づいており、自覚があるようだ、という結果が出ています。

依存傾向「高」の生徒ほど、ソーシャルメディアの利用に際し、悩んだり負担に感じていることが多い。

と考察されています。軒並み全体の4倍程度の割合になっています。項目自体が結構ショッキングなので、下記にすべて載せます。(設問では一部の項目の書き出しは「ネットが原因で~」ですが、スペースの都合上省略しています。)

ネット利用を原因とする生活等への影響
-スマートフォンによるネット利用
自分はネット依存だと思う 何度か学校をずる休みしたことがある 長期に渡る不登校や休学を経験したことがある 健康を損ね病院にかかったことがある 試験に失敗した 友だちを失った 起きている間中、ずっとスマートフォンでネットを利用している 暇さえあれば、スマートフォンでネットを利用している
全体 25.0% 2.4% 0.9% 1.1% 5.4% 2.8% 12.3% 42.6%
71.1% 13.9% 3.9% 5.5% 19.0% 10.8% 48.5% 76.7%
倍率:高/全体 2.8倍 5.8倍 4.3倍 5.0倍 3.5倍 3.9倍 3.9倍 1.8倍

 

ソーシャルメディアの利用状況

ソーシャルメディアを利用しているのは全体の91.0%にもなります。女子(93.4%)で、男子は(88.7%)です。学年が下がるほど、利用割合が高くなる、さらに、依存傾向が高いほど利用率が高くなる傾向(どっちが先かという話では、ソーシャルメディアの利用が先にあって、依存傾向が高くなっていると思います)があります。
また、スマホ利用者の利用率が97.1%であるのに対し、スマホ非利用者では57.6%と大きな差が見られます。

下記は、ソーシャルメディアの利用状況です。(分析母数は有効回答者全体)
筆者が記憶している(いつも口頭で言う時の)数字とほぼ同じです。いつも、LINE:9割、Twitter:7割、Facebook:2,3割と言っています。
それ以外は利用割合が低いだけでなく、「書き込む利用者」でみると、2%、Google+で5%まで下がります。「見ているだけで、あまり使っていない。」ということだと思います。

ソーシャルメディアの
利用状況(読む+書く)
LINE Facebook Twitter mixi GREE Mobage Google+ その他
全体 85.5% 24.3% 66.9% 13.3% 12.3% 13.4% 19.2% 22.0%
88.4% 27.3% 79.8% 18.0% 18.1% 20.5% 26.4% 35.0%
倍率:高/全体 1.0倍 1.1倍 1.2倍 1.4倍 1.5倍 1.5倍 1.4倍 1.6倍

 

下記に、ソーシャルメディアの利用目的のうち、気になるもの(あまりよい理由と言えないもの)を記載します。「新たな友だちをつくるため」は悪いとは言えませんが、結果として【出会い系被害】などにも結び付くため、挙げています。
【ストレス解消のため】、【現実から逃れるため】の割合の高さに注目です。

ソーシャルメディアの利用目的 【複数回答】 ひまつぶしのため ストレス解消のため 現実から逃れるため 新たな友だちをつくるため
全体 52.3% 9.7% 7.8% 12.0%
63.5% 35.6% 37.2% 32.4%
倍率:高/全体 1.2倍 3.7倍 4.8倍 2.7倍

 

ソーシャルメディア上での友達についての比較

ソーシャルメディア上でつながりを持っている、いわゆる「友達」のうち、よくやりとりする人物の属性構成を調査したものです。家族や学校の友達などの割合は、ネット依存傾向とはほとんど関連が無いようです。以下2点だけが、強く関連します。特に【ソーシャルメディア上だけの友達】は、約5倍で、90人を超えます。

ソーシャルメディアで
よくやりとりする人数
ソーシャルメディア上で初めて知り合い、実際に会ったこともある友だち ソーシャルメディア上だけの友だち
全体 1.8 19.4
5.3 93.1
倍率:高/全体 2.9倍 4.8倍

 

いかがだったでしょうか?「日本で最もネットを利用しているであろう、東京都内の高校生が対象」ではありますが、現代の高校生がネットをどのような方法で、どの程度、どのような目的で使っているかなど、実態が見える貴重な調査だったのではないかと思います。

高校生のお子様のいらっしゃるご家庭であれば、ご家庭の状況と比較してみたり、お子様と一緒にデータを見てみるなど、してみてはいかがでしょうか。

 

 

 


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