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コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査(平成25年下半期)警察庁

2014/05/19、このメディアでもいつも紹介している警察庁のサイバー犯罪統計データから、『コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査結果について(平成25年下半期)』(PDF)が公開されました。

今回の内容は、いつもの出会い系犯罪の発生数や検挙数の発表とは少し違っています。

出会い系サイトからコミュニティサイトへ犯罪の舞台が移っているので、被疑者と被害児童から事情聴取したり、捜査の過程で明らかになった状況を整理した、というデータになっています。

サイト事業者による自主的取組の更なる強化や保護者等に対するサイト利用に伴う危険性の周知及び啓発を行うことで被害防止対策に役立てるため、平成25年上半期の調査に引き続き、コミュニティサイトに起因する事犯の詳細を調査したもの。

対策を立てるには、まず相手を知ることが重要です。これはとても価値のあるデータだと思います。

 

被疑者に関する調査

当該サイトを選んだ理由(本記事紹介の警察庁資料より引用)

当該サイトを選んだ理由(本記事紹介の警察庁資料より引用)

犯行動機

犯行の動機には、明確に偏りがあります。

『児童との性交目的』が72.3%、『児童のわいせつ画像収集目的』が9.3%で、性的な目的で犯行に及ぶ割合は実に81.6%です。一方、金銭目的は1.1%になります。残りは『児童と遊ぶため』(14.5%)で、これにしてみても、直接的な接触を求めています。

当該サイトを選んだ理由

『多数の児童が登録』(31.7%)、『児童とメールアドレスの交換ができるから』(12.6%)、『プロフィール検索で児童を選べるから』(10.9%)、『キーワード検索で児童を選べるから』(5.2%)、『児童の顔写真が掲載されているから』(5.0%)と、明らかに初めから児童を目的とした理由が、計65.4%となっています。

 

 

 

犯行時ミニメール利用率と直接メールへの移行率

犯行時ミニメール利用率と直接メールへの移行率

ミニメールの利用率とメールへの移行状況

ミニメールとは、サイトの会員同士(複数人の場合もある)が直接メッセージをやりとりするもので、第三者からは見ることができないものです。ダイレクトメッセージと呼ぶこともあります。
これをチェックしているコミュニティサイトも存在するため、ミニメールでやりとりをせず、外部に移行してやりとりをする、という考えについての調査と思われます。
数字を見てみると、意外性がありました。

まず利用状況ですが、77%が『利用なし』でした。これは少し意外です。オープンな領域でやりとりをしているということでしょうか。確かに考えてみると、自然な会話の中で、「今度遊びにいこうよ!」と誘う部分の投稿だけを他人が見たとしても、「もともとリアルでも知り合いなんだろうな。」と思う程度のようにも考えられます。
一方、直接メールへの移行は72%と多く、やはりコミュニティサイトのプラットフォームから外でやりとりをしたいという考えがあると伺えます。

また、メールアドレスを伝える手段は、『サイト内のプロフィール・掲示板に記載』(52.1%)、『ミニメールに記載』(39.0%)で、計91.1%になります。サイト内の自分の領域にメールアドレスを掲載している人、ミニメールでメールアドレスを送ってくる人は、注意が必要です(もちろんそうでない人もいますが・・・)。

 

サイトにおける隠語の使用率とプロフィールの詐称

これは意外な結果です。
隠語を利用していない被疑者は、93.9%です。
また、プロフィールを詐称していない被疑者も、70.5%になります。

上記のミニメールもそうですが、被疑者は犯行を行うつもりでコミュニティサイトを利用している割合も高いに関わらず、隠語を利用したり、プロフィールを詐称したりはしていません。犯行を行う側の心理にしては、警戒心があまりに薄すぎるのではないかと感じました。これは、『バレないと思っていた。』というのもあるかもしれませんが、あまり考えなしに犯行に及んでいるのではないかと思いました。軽いノリというものかもしれません(ちなみに、被疑者の半数は20代です)。

 

被害児童に関する調査

 

携帯電話使用者名義(本記事紹介の警察庁資料より引用)

携帯電話使用者名義(本記事紹介の警察庁資料より引用)

当該サイトへのアクセス手段

『携帯電話』(88.5%)、『携帯+PC』(1.9%)で、携帯を利用している割合は計90.4%になります。このうち、74.4%(全体の67.3%)がスマートフォンです。
そもそもの普及率がかなり高くなっており、インターネットへのアクセス手段に携帯電話を使用するのは当たり前の話になっていると思います。

使用携帯電話の名義

母親(42.0%)、父親(32.5%)の名義が多くなっています。本人名義は17.2%のみとなっています。使用者を児童にしていない場合、コミュニティサイト、アプリの年齢認証などに携帯キャリアの仕組みが正しく利用できません。親の年齢で認証されます。これは大きな危険を伴います。

 

保護者による指導

被害児童になっていない家庭での保護者からの指導の割合はどうであるかはここには出ていません。しかし、以前の独自調査の結果からも、家庭内の対策といったものは多くの家庭で取り入れられていることです。被害児童が保護者からの指導を受けていなかった割合は、約6割(58.3%)になります。家庭内ルールを一緒に考えていく、といったところから、保護者による指導が必要です。

保護者からの指導(本記事紹介の警察庁資料より引用)

保護者による指導(本記事紹介の警察庁資料より引用)

 

フィルタリングの加入状況

『加入なし』が94.5%です。これは・・・相当な偏りですね。家庭内の指導・対策と併せて、やはりフィルタリングなどの仕組みの導入も考えていきたいところです。
もちろん万能なものではありませんが、これだけで守れるものは少なくありません。

 

 

まとめ

被疑者と被害児童からの調査結果という、重要な調査結果を見ていきました。

被疑者は、当初から犯行を視野にいれつつも、警戒心は薄く、安易に犯行に走っているのではないかと思うところがあります。サイト内での所作もわかりやすく、詐欺などの組織的犯罪と比較し、対策もいくつか考えようがあるように感じます。

また、被害児童は自ら進んで知らない人と知り合いたいと考えている部分があるのは以前からの認識の通りです。被害児童は、保護者から指導を受けたという割合は低く、フィルタリングや、使用名義などもきちんと対処されていない傾向があります。家庭内での対話と、対策を検討・実施することは、こどもたちを守るために最も大切なことと言えます。

 

まだ十分に行えていないというご家庭では、ぜひこの機会に再検討してみてください。

 

 

 


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