世界とつながる時代の子どもセキュリティ解説メディア

つながる世界の歩き方

ある少女との会話から教えられたもの

少年問題アナリストの上條理恵氏に少女達のSNS利用の実態について伺いました

 

警察勤務時に見た、子ども達が巻き込まれるネットトラブル(上・下)で執筆していただいた、少年問題アナリストの上條理恵氏に、少女たちと話して気づいたSNS利用の実態について執筆していただきました。

 

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私の相談に乗ってくれるから

少女たちの共通点は、「家出したい」「誰かに相談に乗ってほしい」と欲している点です。本来ならばリアルな世界の保護者や教師、お友達に相談すればいいのに・・・と思いがちですが、どこの誰であるかもわからないまま相談してしまうのは危険だということを子ども達に教えなければなりません。
「僕で良ければ相談に乗ります」、「うちに来れば養ってあげますよ」などという甘言に騙されて何も疑うことなく知らない男性についていく少女が実際にいるということ。事件として報道されたことで広く世間に知られることになりました。
子ども達が悪意ある誰かの餌食にならないためには、どのような対策が考えられるでしょうか。

 

ある中学生はこう言っています。「いつも親からガミガミ言われるだけで、何か言えば怒られちゃうし。その点、SNSは自分が管理者的な立場に慣れて、中心でいられる。困ったらどこかの誰かに相談すればいい。相手は誰だってかまわない。いやだったら拒否すればいいだけのこと。怖いだなんて全く思わない。私が怖いのは、クラスの友達の方・・・」と

 

返事をもらえるのは嬉しい・・・

子どもは自分の投げたメッセージに返事をもらうことや認められることで満足します。「だって、手紙だってそうでしょ。返事をもらえたら嬉しいじゃん。」ある少女の言葉は納得できる部分もありますが、リアルな世界でやってほしいと願うのは私だけではないはずです。

 

「写真や動画がついていれば、そりゃ誰だって嬉しくなっちゃうでしょ。」うんうん。「何度かやり取りしていると、相手の体調までわかってくる。今日は体調悪そうだとか、しばらく具合が悪かったのかなとか。」そっか、相手の体調までわかっちゃうんだ?

 

確かにこんなやりとりをしているうちに、魔法にかかったようにいつの間にか親近感や情が湧いてきちゃうのかもね・・・と思ったりもするのですが、それはあなたたちを呼び出すための手段であるかもしれないのです。

 

時間つぶし・・・

「部活にも入っていないし、家に帰っても親は遅いし、どうせ暇だから」という状況になれば、子ども達はスマホに夢中になるのも頷けます。リアルな世界で友達がいなくても、ネットの世界ではキングやクイーン的な立場になってみんなから崇拝される人もいます。

 

インターネットは電源さえ補充できればエンドレスで遊ぶことが可能です。この万人が興じるおもちゃを発明したのは誰なのだろうと考えることがある。ある女子高生は、「自分の部屋で寝ながらできるし、誰にも文句言われない。写真だって加工しちゃえば自分が自分じゃなくなったみたいで楽しいし。他にやりたいことが見つかれば、SNSにはまる必要はない。適当にやってればいいだけのこと。」と言っていたので、私は「むなしくないの?」と聞いたところ、いきなり怪訝そうな顔をされてしまいました。

 

「SNS相談」を知っていますか?

ここまで、してはいけないことばかりを書いてきました。そんなことを言っても、誰かに悩みを相談したい、愚痴をきいてほしい、ひとりだと寂しいからネットでも良いので誰かとつながりたい、という気持ちはおさまるものではないと思いました。
実は、この数年間で「SNS相談」という信頼できる専門家たちにSNSから気軽に悩みの相談や会話ができる支援の窓口が全国に広がっているのをご存知ですか?
これまで、電話やメールでの悩み相談窓口はありましたが、長い文章をメール送るのは苦手、そもそも電話が嫌いという人は意外と多いと思います。「SNS相談」では、普段みなさんが使い慣れているSNSでコミュニケーションを取ることができます。

誰かにこの悩みを相談したい!と思っているあなた、ぜひSNSに投稿する前に、「SNS相談」とつながってほしいと願っています。

SNS相談 – 厚生労働省

 

 

若い皆さんへ・・・

結局は老若男女、誰もがみんな誰かとつながりたいのではないでしょうか。マスコミで報道されている事件以外にも暗数はもっともっとあるはずです。若い皆さんへ言いたいことは、「ネットの世界にクローズな世界はない」ことと「マイナーや嘘が表だっている世界」だということです。

 

ひとことメッセージをアップしたら、そこはAll of themの世界であり、ふたりだけの秘密や誰にも言わないでねなんて通用しません。一瞬のうちにコピーと拡散が繰り返されて、自分の知らない不特定多数の人がその情報を知ることとなり、誤った情報がどんどん拡散されていくことすらあるのです。

 

止めたくても自分の意思では止められるはずもなく、やがては言葉の暴力に打ちのめされたりリアルな世界で犯罪に巻き込まれてしまいます。そして、「他人の不幸は蜜の味」的な人間の嫌な点が堂々と表立って歩き出し、寄ってたかって一人をつぶそうとすることもあるのです。消したい嫌な記憶も消すことができず、忘れたくても忘れられない記憶となっていつまでも残ってしまうのです。

 

若い皆さんへ:ネットで知り合った人物を簡単に信用してはいけません!そして絶対に知らない人からの誘い出しに巻き込まれないように注意してください!

 

 

執筆者プロフィール

 

上條理恵

少年問題アナリスト
元上席少年補導専門員
東京経営短期大学 特任准教授

 

 

 

 

小学校、中学校、高校の講師を経て、1993年より、千葉県警察に婦人補導員として、青少年の非行問題(薬物問題・スマホ問題・女子の性非行)・学校との関係機関の連携・児童虐待・子育て問題に携わる。
小・中・高・大学・保護者・教員に向けた講演は1500回以上。
「金持ちより人持ち」をモットーに人間関係の大切さを伝える。
学会活動として、非行臨床学会の会員としての活動も行う。

 

 

記事担当:青木


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