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遺書の共通点 いじめ自殺

あけましておめでとうございます。2014年も引き続き、ネット上でのこどもの安全を守るために役立つ情報を提供していきます。よろしくお願いいたします。

さて、2014年1本目から、大変重いテーマで長文の記事を作成させていただきました(少し時間が掛ってしまいました)。

ネット上にはこれまでいじめにより、自殺という道を選んでしまったこどもたちの遺書がいくつか公開されています。公開の理由としては、いじめ自殺被害者を少しでも減らせるようにというような本人の意思を尊重して、もしくはご遺族の方の意思として、また、事件の真相究明のため、などです。

これらを目にし、1つの共通点に気付き、我々はFilii(フィリー)を開発することにしました。ネット上に公開されたいくつかの遺書は、Filiiの原点です。今回は、そのうちいくつかの遺書を紹介し、共通点とFiliiの関係についてお話していきたいと思います。

保護者の方には、
決して自分の子供たちを、このような被害者に、そして加害者にさせないようにと思っていただけること。
こどもたちには、
いじめによって、このような思いをするこどもを出さないように、
いじめをしていないか、いじめのつもりはなくても行きすぎた「いじり」はしていないか、「見て見ぬふり」をしている場面は無いか、日々の生活を振り返ってもらうことを。
そして今まさにいじめられていると感じているならば、絶対にこのような手段を選ばずに、いますぐ、親や先生に相談すると考えてもらえることを、期待して書きます。

【閲覧注意】
※ いじめを受け、少しでも自殺を考えている状態であれば、以下は読まないでください。
※ そしていますぐ、信頼できる友達や親、先生に打ち明けてください。

 

中野区富士見中学いじめ自殺事件(1986年2月1日)

いじめは日常的に行われており、「葬式ごっこ」には教師も参加していたことで「葬式ごっこ事件」として社会的に注目を集めた事件です。「葬式ごっこ」は、2011年10月の大津市中2いじめ自殺事件でも行われています。同じ発想が出てくるものですね・・・。

以下が遺書です。

家の人へ そして友達へ

突然姿を消して申し訳ありません
(原因について)くわしい事については
・・・とか・・・とかにきけばわかると思う

俺だってまだ死にたくない。
だけどこのままじゃ「生きジゴク」になっちゃうよ。
ただ俺が死んだからって他のヤツが犠牲になったんじゃ、
いみないじゃないか。
だから、もう君達もバカな事をするのはやめてくれ、
最後のお願いだ。

「生きジゴク」と表現するほどの苦痛の毎日、そして最後のお願いが、「自分が死んだあと、他の人をターゲットにするのはやめて欲しい」という内容になる。ということに衝撃を受けました。いじめがエスカレートする前に、祖母に少し話していたようですが、担任が加担していたという状況を覆すのは厳しいものがあります。

 

愛知県西尾市・大河内清輝くんいじめ自殺事件(1994年11月27日)

いじめの内容の悲惨さが世の中に衝撃を与えた事件です。また、清輝くんのお父さんが手記が発表したり、いじめの再発防止や学校教育のあり方を問う為の会を設立するなど、その後につながる動きがあったため、記憶に残っている方もいらっしゃるかと思います。

いじめの中で、金銭を請求される恐喝を受けていました。その金額は110万円にも上ったそうです。
遺書の中に、下記の記述があります。

働いて必ずかえそうと思いましたが、その夢もここで終わってしまいました。

家からお金を盗っているという罪悪感から、「盗ってしまったお金を働いて返すことが【夢】となる」ということに、強い衝撃を受けました。家から盗ったお金の合計額を把握するため、自ら借用書を作成していました。

清輝くんは、いじめの事実を周りには話していなかったようです。

 

滝川市立江部乙小学校6年生自殺事件(2005年9月)

私自身、「小6が自殺を実行するのか・・・」と、愕然としたことを覚えています。まだ記憶に新しい事件です。

学校のみんなへ

この手紙を読んでいるということは私が死んだと言うことでしょう

私は、この学校や生とのことがとてもいやになりました。それは、3年生のころからです。なぜか私の周りにだけ人がいないんです。5年生になって人から「キモイ」と言われてとてもつらくなりました。

6年生になって私がチクリだったのか差べつされるようになりました。それがだんだんエスカレートしました。一時はおさまったのですが、周りの人が私をさけているような冷たいような気がしました。何度か自殺も考えました。

でもこわくてできませんでした。

でも今私はけっしんしました。(後略)

6年生のみんなへ

みんなは私のことがきらいでしたか? きもちわるかったですか? 私は、みんなに冷たくされているような気がしました。それは、とても悲しくて苦しくて、たえられませんでした。なので私は自殺を考えました。(後略)

いじめの事実は周囲には話していなかったようです。

 

山形県高畠町高2女子自殺事件(2006年11月22日)

学校によるいじめの事実の否認、教育委員会の当事者意識のなさなどが社会的に注目を集めた事件です。
遺書には言葉による暴力の断片が綴られていました。

「死は怖いけど、生きているより怖くはないです。」

「今回のイジメでやっと理解した。うぅん、理解させられた。私は皆に不快な思いしか与えられないんだってこと。」

遺書は、1周忌でお父さんから一部公開されたものです。
いじめにより、生きる価値を否定されたと感じたこと、高校2年生で、生きていくことは怖いので生きるのを諦めるという思いに至ったこと。いじめの悲痛さを感じます。
自殺の直前まで、いじめの事実は周囲には話していなかったようです。

 

大阪高1いじめ自殺事件(2011年10月)

定時制高校1年が、度重なる金銭要求の恐喝に耐えかねて自殺した事件です。
遺書には、

いろいろ考えて自殺が一番楽と思いました。

という記述があります。いろいろ考えたのにそこに終着してしまった・・・
この事件も、いじめの事実は周囲には話していませんでした。ひとりでも気づき、話せる人がいたなら、その結論も変わっていたかもしれません。

今日で死ねる。やっと楽になれる。俺は金に殺された。金なんかなかったらいいのに。
お父さん1人にしてごめんな。今まで苦労かけた。でももう心配せんでいいで。長生きしてな。
今まで育ててくれてありがとう。

おばあちゃんにもいっぱい心配とか苦労かけた。今までありがとう。長生きしてな。

こんなん書いてたらキリがないな。そろそろ逝くわ。みんないろいろありがとう。んでごめん。

家族に感謝し、謝罪する。信頼しているからこそ、心配掛けたくない、言えない、というケースがあるのだと思いました。

 

神奈川県川崎市中3男子硫化水素自殺事件(2010年6月7日)

いじめに遭った友達を護れなかったことを悔いて、また、いじめの矛先が自分に変わったことをきっかけに自殺した事件です。
現代ビジネスで特集記事があったのでリンクしました。

家族のみんなにはお願いがあります。
1つは、自分たちをどうか責めないでください。

このケースも、家族には話していません。
これもまた、信頼しているからこそ、心配掛けたくない、言えない、というケースでした。

 

愛媛県今治市中1男子いじめ自殺事件(2006年8月17日)

愛媛県今治市の小さな島で起きたいじめ自殺事件です。
人口の少ない地域で、濃密な人間関係の中で発生したいじめ。逃げ場が無いとはまさに、という状況であったのだろうと思います。

以下、衝撃的な出だしで始まる、遺書全文です。

最近生きていくことが嫌になってきました。

クラスでは「貧乏」や「泥棒」と言う声がたえず響いていて、その時は悲しい気持ちになります。
それがもう3年間も続いていて、もうあきれています。
それに、毎日おもしろおかしくそいつらは笑っているのです。
そう言うことでこの度死ぬことを決意しました。
私が、死んだ後の物は(弟2人の名前)で分けて下さい。
机にある小判は私だと思って持っていて下さい。
(弟2人の名前)は僕の分まで長生きして、いい職について下さい。
いつも空から家族を身(原文のまま)守っています。
さようなら
いままで育ててくれてありがとう
母さん父さん
By(生徒の名前)

このケースは、少人数の地域であることから、クラスのメンバーは固定で、同じクラスの同級生から3年間に渡って行われていました。このため頻繁に目についたようです。親にも先生にも話していました。ただ、それを完全に止めることはできませんでした・・・。

 

名古屋市高2女子自殺(2006年8月18日)

現代ビジネスで特集記事があったのでリンクしました。遺書の写真にドキッとさせられます。
いじめの渦中での自殺ではなく、いじめを受けた記憶がPTSD(心的外傷後ストレス障害)により唐突に思いだされ、パニックになるような状況に耐えかねて自殺したという事件です。
それほど、いじめによる傷跡は深いのです。加害者は時間が経つにつれたいてい忘れますが、被害者にとっては時間で解決するものではない場合があるのです。

まま、大好きだよ。みんな大好きだよ。愛してる。でもね、もうつかれたの。みおこの最後のわがままきいてね。こんなやつと友ダチでいてくれてありがとう。本当にみんな愛してるよ。でも、くるしいよ

短い文章です。ですが、被害者の想いと苦しみが伝わります。現代ビジネスの特集にある遺書の写真を見ると、その深い悲しみと辛さをより感じます。

 

名古屋市市立中2年自殺事件(2013年7月10日)

「いろんな人から死ねと言われた」ということを理由の1つにして自殺を選びました。

気付いてあげられなかったなどと後悔しないでください。自分から隠していたのです。大丈夫なように振る舞っていたのです。

完全に隠していたというケースです。誰かが気づいていたならば、また話は変わったかもしれません。

 

これ以外に、周囲にいじめの事実を話してないと思われる遺書がいくつもあります。

新潟県上越市中1年自殺事件(1995年11月27日)
千葉県神崎町中2年自殺事件(1995年12月6日)
福岡県中3年自殺事件(1996年1月23日)

・・・

 

いくつも紹介させていただきましたが、斬新なアイディアがあるわけではありません。いじめがエスカレートする前に、「周りに話しましょう。」ということを推奨したいと思います。確かに、言いにくいです。言っても取り合ってもらえないこともあるかもしれません。

ただ、解決する方法は必ずあるはずです。それは、一人では気づけないかもしれないし、乗り越えていけないかもしれません。まずは話しましょう。
最初は友達でもいいです。その後は親や先生に。たまたま1人に取り合ってもらえなくても、他の大人にもなんとか打ち明けてください。

話を聞く側は、まずは話をきちんと聞きましょう。変化に気づいてあげてください。

事実関係を把握することとか、対処の方法をどうするかなどの議論はあります。そういった話も大事なことです。
とは言え、まずは気付いてあげること(子供側はなんとか打ち明けること)、そして、きちんと話すことです。

 

さて、最初に、「遺書はFiliiの原点である」というお話をさせていただきました。
遺書の紹介とともに記載しているように、多くの場合、

周りが気づいてあげられなかった ・ 周りに言えなかった ・ 親に心配をかけたくないので隠していた

という共通点があることがわかります。

もしネットの上だけでも、いじめの兆候(犯罪被害などの危険も含めて)を捉え、伝えることができる仕組みがあればどうでしょう。自動的に上記3点を解決し、自殺という最悪の結末を回避することができるかもしれません。
このように考えたことから、Filiiを開発しました。
Filiiは、保護者による監視の仕組みではありません。親子で危険情報を共有し、身を守る手段として提供しているものです。いじめの検知だけでは解決しないことは理解しています。しかし、この検知と危険情報共有の仕組みにより、親子で話す機会、解決やケアのプロフェッショナル、適切な相談窓口につなげる手段として役立つことを目指しています。

 

※ 紹介した遺書は、いじめ自殺被害者を少しでも減らせるようにというような本人の意思を尊重して、もしくはご遺族の方の意思として、また、事件の真相究明のためといった理由で公開されているものに限って紹介しています。

※ 被害者のご冥福をお祈りするとともに、このような被害を出さぬよう微力ながら貢献できればと思います。


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