スクールカーストといじめ予測
11月に、新潟で【NPO法人子どものオンブズにいがた第2回講演会「いじめとスクールカースト」】が開かれました。講師は、「教室内(スクール)カースト」の著者、鈴木翔さん(東京大学大学院)です。
12/1の朝日新聞Digitalの記事を元に書いていますが、この講演会自体は、11/9に開催されたようですね。
スクールカースト(教室内カースト)とは、学級内の生徒間でランク付けがされ、「1軍>2軍>3軍」、「A>B>C」などの地位階層ができあがった状態です。インドの身分制度、「カースト制度」(左図)になぞらえて、スクールカーストと呼ばれています。
ランキングの評価基準は、次のようなものです。
恋愛・性愛経験 – 豊富なほど上位
容姿 – 恵まれているほど上位
ファッションセンス – 優れているほど上位
場の空気 – 読めたり支配できたりするほど上位
部活 – 運動系は上位[注 3]、文化系は下位
趣味・文化圏 – ヤンキー・ギャル系は上位[13]、オタク系は下位
自己像[注 4] – 自分探し系は上位、引きこもり系は下位wikipediaから引用。
「人気」、「コミュニケーション能力の高さ」に影響を受けると言われています。一度決まると上位はなかなか変動せず、上位層に位置取れば、その下の層のランキングを変えられるほど、影響力を持つといいます。講演でもそのような話が出たようです。
ACADEMIC JOURNALISM SYNODOS に、インタビュー記事繊細で微妙な「地位の差」を捉える 『教室内カースト』著者、鈴木翔氏インタビューがあります。今回の講演と共通する話題についてのインタビュー記事です。
講演会の話から逸れますが、先日、『ネットいじめははぜ痛いのか』(ミネルヴァ書房、2011年10月)、「ネットいじめの実態とその背景」(『現代のエスプリ2011年5月号』ぎょうせい、2011年3月) など執筆されている、佛教大学の原清治先生とお話する機会がありました。
スクールカーストの話が出て、
「最近のこどもたちは、LINE(コミュニケーション用アプリ)のレス(返信)の早さで人間関係の距離感を測る。カースト測定をしている。」
というお話をお聞きしました。レスの有無、速度、内容で人間関係を測るのです。
LINEはメッセージが読まれたかどうかが分かる、『既読』 という表示があるので、確かに、このような測定がしやすいかもしれません。(だから良くない、という意味ではないです!)
こどもたちが(個人差はあるものの)、LINEやいくつかのSNSにおいて、ある範囲に納まるルールによってそのような測定をするのであれば、我々のようなシステム開発者は、それをシステムで再現することができるかもしれません。(※)
レスの有無、速度、内容といった情報から、生徒間の関係性を数値化することで、こどもたちが行っているカースト測定を模擬できるかもしれません。
スクールカーストは地位階層そのままに、いじめの可能性を秘めています。
つまり、このカースト測定を模擬できれば、「いじめの可能性を予測する」ことにつながり、なんらかの事前対処に結び付けることができるかもしれません。
当社が提供する、『こどもをネット上の危険から守るサービス Filii(フィリー)』 では、検知だけでなく、予測につなげるため、既に関係性を把握する技術の検証を行っています。この鈴木さん、原先生のお話も1つのヒントとし、いままでに無い視点で役に立つサービスを提供できればと思っています。
※ 残念ながらLINEについては、LINEの仕様上、データが取得できません。