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それ犯罪です!意外と知らない、ネット上に見られる犯罪行為

子どもたちが犯罪に誘われたり、犯罪行為をしてしまったりといったケースについて、いくつか紹介してきました。子どもたちの中には、いくつかの行為を犯罪とは知らずにネット上で行ったり、投稿したりというケースが見受けられます。以前紹介した炎上“の仕組みを調べる中でも、そのような投稿事例を数多く見つけました。

 

今年(2013年)の8月、日経で『特集:スマホチルドレンの憂鬱』という特集が組まれました。神戸県立大学の竹内和雄准教授による特集記事です。

この特集の中の、『知らぬ間に「ネット加害者」 未熟な中学生の常識』記事の中でも、『名誉棄損罪』、『不正アクセス禁止法違反』について、

1割を超える男子中学生が、犯罪に該当する行為をしてしまっている。女子も男子よりも割合は低いとはいえ、少なくない人数がこれらの行為をしていると答えた

という記載があります。

今回は、意外と知られていない、他にも存在する犯罪に該当するケースについて解説したいと思います。
※ 法律の専門家ではありません。過去に犯罪として扱われたケースからの抽出に過ぎず、個々のケースの犯罪有無(どこからが犯罪か、どの罪に該当するか、など)を判断するものではありません。

 

■ 名誉棄損・侮辱罪

  • 悪評の流布

    要するに悪口をまき散らすことなのですが、度が過ぎると犯罪になります。相手の評判を落とすために、悪い評判を立てようと、故意にあることないことネット上に流したりすることが発端となります。プライバシー侵害にもなる、個人情報を含めての悪評の流布は悪質です。個人が特定され、家族も巻き込み、名誉棄損罪、侮辱罪へと発展する確率も高くなります。
    また、”ネットいじめ“もこのケースに該当するでしょう。

  • なりすまし

    他人のふりをして、ネット上で活動することです。その際の振る舞いにおいてなりすましている当人に害を及ぼす場合、罪に該当する可能性があります。害が無い場合、『悪質ないたずら』として罪に問われない場合もありますが、ネット上で『他人のふりをする(なりすます)』ことは犯罪となる可能性があることを認識しておくべきでしょう。また、なりすます相手が企業や団体などの場合、”業務妨害“となることもあります。

  • リベンジポルノ

    リベンジポルノについては、以前解説させていただきました。もと配偶者や恋人と共有した公序良俗に反する(つまりは裸の)写真・動画などを流出させる嫌がらせ行為のことです。そのような写真・動画等を共有することは少なからずあるようです。これを流出した側が罪に問われる可能性があります。また、「流出させるぞ」と脅す行為により、『脅迫罪』に該当する場合もあります。

 

■ 業務妨害

  • 悪評の流布

    悪評の対象が個人ではなく、企業をはじめ、何らかの団体である場合、業務妨害に該当する可能性があります。特定の製品やサービスなどを利用した(または実際にしていなくても)感想などといったかたちで、必要以上に過激な表現で酷評したり、不買や破棄を推奨してしまうケースなどが該当します。

  • 犯行予告

    また、ネット上で”犯行予告“を行うケースも少なくありません。ニュースなどで目にする機会も増えているように感じます。犯行予告においては、嘘や誇張した情報などを用いて業務を妨害した場合には『偽計業務妨害罪』、暴力的表現を用いて業務を妨害した場合には『威力業務妨害罪』などに該当し、いたずら目的の場合でも、『軽犯罪法違反』となる場合があります。

 

■不正アクセス法違反

RMT目的で不正アクセスが行われることも

RMT目的で不正アクセスが行われることも

  • 他人のアカウントに不正にログインすること

    パソコン、スマートフォンなどの機器やインターネット上のサービスを利用するためには、多くの場合、『アカウント(ID)』と『パスワード』が必要です。これらを聞き出したり、盗んだり、推測して、不正にログインすることです。アカウントとパスワードを知る手段は問題ではなく、他人のアカウントに不正にログインすること自体が罪になる可能性があります。
    よくあるケースとしては、オンラインゲームのアカウントに不正にアクセスし、ゲーム内のアイテムを奪うような行為があります。ゲームは子どもたちにも身近なものですが、ゲーム内のアイテムはお金を払わないと取得できないものがあったり、貴重なアイテムは高額の現金(現実のお金です!)で取引されることもあります。ゲーム内の通貨が現金で取引(RMT:リアルマネートレード)されることもあります。

 

■違法アップロード/ダウンロード

  • 自身が著作権を持たない音声および映像等のアップロード

    Webサイトやファイル交換ソフト(不特定多数と、所持するファイルを交換し合うソフト)により、他人がダウンロードできる状態で、自身が著作権を持たない音声や動画をアップロードすることです。著作権の侵害により、罪に問われる可能性があります。自身で購入した音楽や動画、マンガのスキャン画像などをアップロードして共有してはいけません。

  • 違法アップロードされたものだと知りながらダウンロード

    2010年から、著作権法が改正され、違法行為になりました。違法にアップロードされた動画・音楽だと知っていてダウンロードした場合、罪に問われる可能性があります。子どもが安易に手を出しやすいケースではないかと思います。

 

■プライバシー侵害

  • 個人情報漏洩

    まず、『プライバシー侵害罪』というような罪は、法律上には存在しません。プライバシーは人権であり、人権を害する行為のことを指します。被害者がなんらかの行為を受け、「プライバシーを侵害された!」と思い、法的にそれが認められれば、『名誉棄損罪』などとして加害者側の”プライバシーを侵害した行為”に対しての罪が問われることになります。(ものすごくざっくり説明しています。)
    前置きが長くなりましたが、子どもたちのネット利用では”個人情報漏洩“が該当する可能性が高いと言えます。安易に、ネット上に他人の個人的な情報、および個人を特定できる情報を流布してしまう行為です。普段の会話の延長としてネットを利用しているという感覚で書きこんでいるというケースが多いかもしれません。情報モラル、リテラシ教育によって正しい知識を得れば、これは減少するかもしれません。

 

■わいせつ物頒布罪

  • リベンジポルノ

    そのままですが、わいせつな物を撒き散らした罪です。リベンジポルノで公序良俗に反する画像・動画などを流出させた場合、『名誉棄損罪』、『侮辱罪』の他に、『わいせつ物頒布(はんぷ)罪』となる可能性があります。

  • 自画取りわいせつ画像・動画の拡散

    リベンジポルノは他人の画像・動画ですが、自分の画像・動画を拡散した場合でも、『わいせつ物頒布罪』となる可能性があります。子どもたちの間では、笑いのネタとして、Twitterなどで比較的安易にやってしまいそうです。インターネットは公共の仕組みであるため、故意にこういった画像・動画を流出した場合、罪に問われる可能性があります。
    自分のならいいだろ。ということにはなりません。

 

■児童ポルノ禁止法違反

  •  リベンジポルノ、わいせつ物頒布

    リベンジポルノやわいせつ物頒布の画像・動画等の被写体(写っている人物)が未成年の場合、『児童ポルノ禁止法違反』となる場合があります。未成年の自画取りわいせつ画像・動画の拡散は、自ずと『児童ポルノ禁止法違反』となる場合があります。

 

■往来妨害罪

  • 線路を歩いて帰る

    直接ネット上での犯罪行為とはならないのですが、以前炎上事例を調査した際に、あまりにこのケースが多かったので記載しておきます。Twitterなどで犯罪行為を武勇伝的に自慢してしまう”バカッター”ですが、その投稿内容(画像)の中に、「終電後、線路歩いてかえるなう。」と言ったものがかなりの数見受けられます。終電後、帰る手段が無くなったので、線路をたどって歩いて帰ってます。といった報告です。
    線路上を歩くことは犯罪です。『往来妨害罪』、『往来危険罪』に該当する可能性があります。また、線路上は鉄道会社の私有地となるため、『不法侵入』にも該当する可能性があります。終電後でも電車が走ることはあります。犯罪行為ですが、何より危ないのでやめましょう。

 

 

知識不足から、犯罪行為とは知らずに軽い気持ちで行ってしまうことがあると思います。ネット上は、リアルの世界となんら変わらない現実の世界です。しっかりした知識を身に付け、お子様、自分自身、家族を危険に近づけないようにしましょう。

最近、自治体や啓発団体などで、”情報モラル教育“、”ネットリテラシー教育“などについて、啓発セミナーが多く開かれています。親子共々、これらのセミナーに参加することはとても有効だと思います。
弊社でも、このような啓発セミナーで直接皆様に最新の情報をお伝えできるよう、自治体や各地の団体などと協力して情報提供できるように相談・計画を進めています。ご興味があれば、是非こちらのお問い合わせ窓口からお声掛けいただければと思います。

 

本記事は人気コンテンツであり、その2が掲載されました。

 

 

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