その投稿大丈夫? 炎上対策ツールのまとめ
ここ数回にわたり、”炎上“についての話題を記載して参りました。以前、「バイトテロ」により倒産した会社のお話をご紹介しました。日経ビジネスにその経営者の直筆の手紙が公開され、話題となっています。示談が成立せず、裁判になりそうです。
お子様の悪ノリや不用意な投稿から、このような事態を引き起こす可能性が無いとは言えません。
現状、こども向けの炎上防止になるようなツールは無いものでしょうか?
探して見ましたが、見当たりませんでした。(あるかもしれませんが。)
こんなアプリならありました。(写真をデコレーションして「バカッター」写真を取るアプリ)
さて、企業でもこれらのリスク対策に予算を割いて取り組んでいるというお話を以前もしました。
企業向けにはいくつか製品・サービスが存在します。
今回は、企業向けツールを参考に、こども向けでも必要と考えられる機能を検討してみましょう。
弊社サービス、Filii に組み込むことも想定した検討です!
企業向け炎上対策ツール
- 評Ban(NTTアイティ)
利用料
初期費用:20,000円
月額費用:17,000円~
(キーワード1つ、ユーザ数1名)概要
・製品の評判を確認可能
・30分に1回、分析
・ポジネガ分析が可能機能
・分析実行は30分毎
・バースト検知でアラートメール送信
・製品を対象としたポジネガ分析17,000円の月額費用で、1つのキーワードをウォッチできます。製品などの評判を監視する目的で利用できます。ポジネガ分析というのは、製品に対しての投稿が、ポジティブかネガティブかを分析するものです。
Twitterのみに対応しています。ニュースサイト、ブログなどはオプションです。
バーストとは、連続的に事象が発生することです。この場合、通常とは異なる交流頻度などが観測され、炎上の可能性が高くなっているというような状態です。
- つぶやきマネージャ(ソーシャルグループウェア)
利用料
・無料
・980円/月(予定)概要
ツイートを承認制にするスマホアプリ機能
・投稿する内容が承認者にメールで届く。
・承認者が承認しないと投稿できない。
・承認されない場合、時限式に投稿を許可することが可能。Twitterへのツイート(投稿)を承認制にして、承認が出るまで投稿できないようにするスマホアプリです。
事前に確認してから投稿を許可するため、防止力は高いと言えます。月額費用も家庭で払える範囲だと思うので、こどものツイート管理を行うことも可能です。ただ、こどものツイートはかなり大量である可能性があるため、全て確認するのは厳しいかと思います。時限式の許可をせざるを得ないかもしれません。
また、毎回保護者チェックが入るのはこども側からすると嫌がる可能性が高そうです。もしくは受け入れた体で裏のアカウントを作成するなどしそうですね。※こちらのツールは政治家や企業のTwitterアカウントを管理することを目的としています。
- ソーシャルメディアWebモニタリングサービス(Deloitte トーマツ)
利用料
基本セット 自動収集
初期費用:15万円~
年間運用費用: 108万円~
オプション:
年間運用費用:24万円~概要
・体制整備、教育、モニタリング、運用のトータルサービスの一環として提供
・モニタリングは自動(収集、アラート)と有人監視機能
・データはユーザが設定したキーワード(検索、不要、絞込ワード)を元に収集
・ブログ、掲示板、Twitter、ニュースサイト、Facebookから収集
・過去13カ月のデータまで遡及可能トータルサービスであることは強みであると言えます。SNSだけでなく、Web全体からデータを取得することは有効ですね。
コンサルティング力を活かして、多様な用途に対応しているようです。
・リスク管理(風評、炎上の未然対応、事後対応)
・マーケティング(市場調査、アクティブサポート)
・セキュリティ(情報漏洩の調査)
・人事(採用人材の評価)
・他社比較(競合他社のソーシャルメディア露出度調査)
・カスタマーサポート(オペレータの評判調査、潜在的なクレームの早期発見事前対応)
・反響調査(PR、リリースのソーシャルメディアにおける反響調査)
- アスペクト・ソーシャル(ITFOR)
利用料
月額75万(20ユーザまで)概要
・ネット上のさまざまな投稿を横断的かつリアルタイムで収集
・回答や対応が必要な投稿を特定して担当部門へ自動転送機能
・ポジネガ分析
・返信が必要な投稿を判別するフィルタ
・会話の流れを記録して可視化(文脈を取り違えないようにする)
・アスペクトソフトウェアのコンタクトセンターツールと連携する
・適任者へ割り当てる仕組みコンタクトセンター(顧客とサポートなどで接点を持つ窓口/電話オペレータ部門)との相乗効果に注力したサービスです。個人では使えませんが、コールセンターとの組み合わせというのは、かなり良いものだと思います。
SNSだけでなく、Webからデータを取得している点、リアルタイムで収集しているので、緊急性のある事案にも対応できます。
また、返信が必要な投稿を判別するフィルタは良いですね。システムが収集してくれたとしても、大量の投稿を目で見て返信の要否を判断するのはものすごく手間です。必要なものを提示してくれるのは重要な機能ですね。対応の時に文脈を取り違えないように会話の流れを見やすくする機能も良いですね。Twitterなどは特にそうですが、SNS上での会話は、流れが見えにくいものも多いので、この機能は使い勝手が良さそうです。
- Cikappo(WEBOSS&調和技研 共同開発)
利用料
初期費用:100,000円
月額費用:100,000円
(100アカウントまで)概要
ソーシャルメディア診断システム
・ウォッチしたいアカウントを登録しておく
・チェックしたいキーワードを登録しておく機能
・対象アカウントのツイート一括表示
・アカウントごとに診断結果を統計データ、グラフ表示
・過去のツイートを検索できる
・事前リスクチェックTwitterと2ちゃんねるを対象にした、ソーシャルメディア診断システムです。
統計的にデータを整理してくれるのは全体感の把握や傾向の把握に役立ちそうです。つぶやきマネージャのように、投稿の事前チェックをしますが、これはシステムでチェックした結果をセルフで確認するものです。確認はセルフであっても、一息着いて改めて確認してみるのは有効だと思います。
- ホットアラート(ワイズワークスプロジェクト)
利用料
月額:52,500円概要
Twitterを含む、提供者指定の150サイトから、炎上しそう(した)という情報を通知する機能
アラート通知あまり説明が無いのでよくわかりません。提供者指定ですが、150のWebサイトから情報を取得するというのは、かなり多くのデータ量を対象にチェックしてくれると期待できそうです。
企業向け製品の紹介は以上です。こども(個人)向けで利用するのは厳しそうです。
やはり現状、SNSへの投稿による”炎上”リスクマネジメントとしては、情報モラル・ITリテラシの向上と、危機感の醸成という、教育方面でしか直接リスクを軽減する方法は無いと考えられます。
もちろんこれらは大切なことですが、理解があっても、悪ノリや不用意な投稿というものは起きてしまう可能性があります。 『仕組みで守る』という視点は必要だと思います。
個人向けのツールとして必要となってくる機能、方向性について考えてみましょう。
投稿前にチェックするのが有効と言えそうですが、現実的に、全てチェックしていくのは難しいと言えるでしょう。
セルフチェックや、早期発見が妥当な線のように思えます。結果を見やすくする、必要なものだけ提示するというコンセプトも同様に必要そうです。
収集データとしては、SNSだけでなく、広くWebから取得できるようなものが良いですね。炎上の舞台はSNSだけではありません。また、「バイトテロ」などにおいては画像付きの投稿が炎上するケースが大半であるため、テキスト(文字、文章)だけを対象にするのではなく、画像/動画などを収集、チェックする必要があります。
傾向の把握も有効そうです。早期発見のアラートだけでなく、予測による注意喚起(このパターンで発言していくと失言するかも!?)のようなアラートが出せるとより良いです。
現在Filiiでは、Twitter対応を進めています。企業向けの炎上対策ツールの観点は、個人に置き換えても有用そうです。上記で検討したような機能を参考に、対応を進めていきたいと思います。