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第4回千葉県東葛地区人権サミット【取り組み紹介シリーズ[5]】

第4回千葉県東葛地区人権サミット

 

2017年2月1日、「インターネットによる人権侵害」をテーマとして、第4回千葉県東葛地区人権サミット(主催:NPO非特定営利法人 人権ネットワーク・PEaCE21)が柏市のアミュゼ柏クリスタルホールで開催されました。

すでに4回目となった今回のサミットは、我孫子、柏、流山、松戸の4市長が出席。活発な意見交換が行われました。

 

第一部 「インターネットによる人権侵害から見るこどもたちの現状について」

第一部は柏市少年補導センター・麻生徹指導主事の講演。柏市ではネットトラブルに対して積極的な取り組みを行っています。その取り組みの中で確認できたスマホ利用実態や、ネットパトロールで発見したさまざまなトラブル事例が紹介されました。

 

柏市のスマホ利用状況

柏市では中学生のスマホ所持率が60%を超えたことや、利用しているアプリの比率などを紹介。スマホアプリ「LINE」の利用者数がスマホ所持者数よりも多いことには驚かされました。スマホを持っていなくても、パソコンやタブレットを使ってLINEでお互いにコミュニケーションをとっている子どもがいることが分かります。

LINEでは複数名で同時にやりとりができる「グループ」を作成することが可能。どのようなグループが存在しているかを調査していく中で、100名以上の大規模グループが作られていることも判明したそうです。

 

トラブル事例

学校裏サイトで特定の生徒が誹謗中傷される様子。道路を歩く人を、ベランダからエアガンで狙い撃ちしている模様が投稿された動画サイト。喫煙・飲酒を肯定する発言をTwitterに投稿して炎上する事例…多数紹介される現在の子どもたちの実態はとても衝撃的でした。市内の主要な場所での補導数は減っているが、子どもたちの非行がネット上に移っただけとのことでした。

 

こうしたさまざまなトラブルが発生している中で、麻生氏は「サイバーパトロールでは閲覧可能なSNSや掲示板を確認していますが、第三者が閲覧できないクローズド環境への対応には非常に苦慮している状態となっております。」「LINEアプリによるトラブルが非常に増えており、何かよい対策がないか模索しております。」と述べ、昨年行った取り組みとして、弊社アプリ「Filii」(フィリー)を用いた実証実験について紹介する場面がありました。

 

Filiiかしわ トラブル対応フロー図

 

 

 

第二部 「インターネットから子供を守る〜人権の視点から〜」

第一部で紹介されたネットトラブルの実態を踏まえたうえで、第二部では「インターネットから子供を守る〜人権の視点から〜」と題して、東葛地区4市長(我孫子、柏、流山、松戸)による意見交換が行われました。

 

事例を踏まえた意見交換

「子どもにスマホを持たせるべきか」「学校裏サイトの存在について」「ネットでのいじめ」などの事例について各市長が意見を交換。各自治体ともさまざまな対策を行っており、生徒たちが自分たちでネットルールを策定するなどの取り組みを実施していることを紹介していました。

子どもたちは道徳の時間などでも情報モラルについて学んでいるが、それだけではなくて、ネットの技術的なことやトラブル発生時の対応方法など、今まで以上に幅広く学んでいくことが重要だと議論を展開。

 

この意見交換の中でもFiliiについての話題が挙がりました。すでに壇上から降りていた麻生氏は司会から発言を求められ「保護者がきちんと子どもを守っていくことが大切。(ネット上の)見えないところに対するアプローチとしてFiliiは有効な手段だと感じます。」と回答されていました。

 

スマートフォンの普及に伴い増加しているネットトラブルへの対応について、各地自体が力を入れていることを感じるサミットでした。

筆者が印象的だと感じたのは第二部の議論の中で出てきた「学校に任せるだけでは難しい、家庭や地域も一緒になって取り組む必要がある」という話です。

学校だけではなく、保護者や地域などが協力して今後も取り組みを進めていくことが重要になると思います。

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