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ネット上の子供の中傷・悪評 削除依頼に応じない 問題は他にも

ネットパトロール等で見つかったこどものネット上の中傷や悪評が、サイト運営者に削除依頼をしても削除に応じないケースが多々ある、ということが、読売新聞が行った調査(2014/03/25の記事)で分かりました。

この件について、3/25の北海道放送HBCラジオ「夕刊おがわ」にて、筆者の西谷がコメントさせていただきました。電話でのインタビューコメントとなりました。なぜ削除依頼に応じないのか?ネットいじめの現状はどうなっているのか?ネットいじめの問題点は?どのような対策が必要か?という質問に回答させていただきました。ラジオでは限られた時間の中だったので、ここでもう少し詳しく説明したいと思います。

 

なぜ削除依頼に応じないのか?

ネットいじめ、いわゆる、ネット上で行われるいじめを発見した場合、その書込みや投稿画像・動画などを削除依頼する場合があります。この件数は、把握されているだけで、全国で年間約7万件になるそうです。その中で、実際には削除に至らない依頼があるという話です。

なぜ削除してくれないのでしょうか?削除拒否の理由として、下記のようなものがあります。

  • 本人の依頼でないと受け付けられない。
  • イニシャルだけでは誰を中傷しているか分からない。
  • 中傷と言えるレベルではないと判断した。
  • 本人間で解決して欲しい。
  • そもそもそういう依頼は受け付けていない。
  • 回答なし。(返事が返ってこない)

この他にも、「削除ルールに則った条件が揃っていない。」ということがありそうです。しかもルールは公開されておらず、運営者側だけが知っていて、判断するときに利用する、というケースがあります。だいたいそういう場合は、拒否した理由を説明してくれなかったりします。
依頼があった場合、その事実の確認、削除の妥当性判断、実施、報告などの対応を行う必要があるでしょう。1つ1つの依頼に対して、結構な手間がかかります。また、特に削除の妥当性判断は、依頼はそれぞれ個別ケースであり、明確な削除ルールを持たない運営者の場合、それぞれの依頼に対して削除の要否の判断が必要になります。これは人の判断を必要とする、すこし難しい問題になります。
個人運営に近いような、運営者側にスタッフがほとんどいない状態だと、恐らくこの依頼にしっかり対応することは難しいと思います。内部的にルールが決まっていないサイトなどでは、上記のような回答をせざるを得ないというのが実情だと思います。

さて、実際に運営者が拒否するケースの割合ですが、紙面を見ると、秋田県のケースで21%、埼玉県のケースで17%となっています。個人的な感覚ですが、「思ったよりも対応してる(消してる)な」と思いました。削除依頼が出されるサイト、ほぼ8割は、こういった対応に人件費を掛けられる、大きな有名サイトなのかもしれません。

また、1割、2割程度のケースには、「本当に消す意味が無いようなもの(そもそも中傷ではないもの)」や、「依頼に不備があり、消すべき投稿が分からない」というものが、相当数含まれているかもしれません。
さらに、海外サービスや海外にサーバ(サイトやサービスを運営する機器)を置いている場合、日本の法的手段に則っても、対応してくれない場合があります。そもそも、連絡先が分からないケースなどもあります。こういったものは、この約2割に入っているのでしょうか。削除された or 削除されない という数値として出しているので、こういったケースが含まれている可能性がありそうです。

なら消さなくてよいのか?

とはいえ、いじめられている本人にしてみれば、一生ものの傷になる可能性があります。
削除されない割合は低いので問題無い、という話ではないです。また、運営者側が、「中傷の度合いが低いから」、という理由で「これは消さなくていい」と判断するのはおかしなことです。傷つく度合いは、本人の問題です。また、データとしてネット上に残り続ける以上、本人が気づいていないところで本人の人生に害を及ぼす可能性すらあります。そのような視点ではない、判断基準が求められるところです。

これにはやはり、紙面でも推奨されているように、ルール化が必要だと思います。消すために必要な情報を集められるか?という視点でルール化が必要だということです。それに沿っていれば消す、沿っていないのであれば消さない、ということが、運営者と依頼者の双方が分かるルールとして、明確に見えていれば良いということです。運営者が自主的に削除基準をサイト内に示してくれると済みそうです。「法律を作るということですか?」と言われると、強制力のあるものが必要ということであれば、そうなると思います。EUでは、本人の希望により削除や頒布中止を実施する、「忘れられる権利」(リンク先は会員サイトです)というものもあります。

 

ネットいじめの現状や、問題点

ネットいじめとリアルいじめ

ネットいじめとリアルいじめ

については、下記に記載しています。

ネットいじめとリアルのいじめ

ネット上の危険って何があるの?その1

 

 

どのような対策が必要か?

紙面に記載がありますが、『LINEでのいじめは見えない』という話があります。これは最近のいじめの傾向ですが、いじめを行う場が、オープンな掲示板やサイトではなく、閉じた世界、指定したメンバーにしか見えない機能やアプリに移ってきているようです。LINEはそのものですが、ダイレクトメッセージやミニメールと言われるような、指定した複数人の間や個人間でのやり取りを行う機能が温床になっています。LINEに限らず、コミュニケーションを行うサービスなら何でもそうです。FacebookでもTwitterでも同じです。
そういった部分を、運営者側で監視しているSNSはいくつかあるようですが、監視を行っていないサービスも多くありますし、それは運営者の判断に任されるところです。

ラジオでも紹介させていただきましたが、弊社サービスFilii(フィリー)はそのような温床となる交流も対象とし、注意を払うことが家庭でできるようになるサービスです。LINE、カカオトーク、comm、Facebook、Twitterに対応しています。

ただし、LINEはデータが取得できない仕組みになっているので、現在Filiiでも対応できません。(2014年6月30日に対応しました)
別の方面でも、LINEが気持よく使えるようにならないか、ということは、日々模索しています。

紙面には、いじめも犯罪も見えない部分に移ってきてしまっていて、既存のネットパトロール手法も限界にきているのでは?という話が書いてあります。それを見越しての、Filiiです。

LINEのようなアプリ自体はとても便利なもので、アプリ自体を批判するつもりはありません。ただし、LINEは圧倒的にこどもたちに使われているコミュニケーションツールで、問題を多く抱えていることも事実です。18歳未満のID検索を禁止しても、効果は薄いです。特にいじめにはまったく効果がありません。これらには、根本的に有効な対策は今も打たれていないと考えています。もう一歩進んだ対応が必要ではないかと思います。

 

削除料金を要求された

話の流れからはずれるので、最後に。紙面に記載の、「削除依頼したら、削除料を要求された」という、新潟市の事例が気になります。単純に、事務手数料を取らないと数が多すぎて対応できないという話かもしれません。
気にしているのは、わざとこういう投稿や写真・動画などを集めているようなケースです。

削除依頼を待ちかまえて、有料で対応するという、詐欺というか、恐喝のようなサイト(サービス)の可能性です。
アメリカで、過去に「Is Anyone Up?」というサイトがあり、こういった手口で有料削除を行っていました。

これが日本で再燃しているのでは?と懸念しました。
この場合、個人で依頼するのではなく、弁護士などを通して法的手段で依頼する方針が良さそうです。

 

 


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