IPA調査:スマートデバイス利用者の57.1%が「公開した情報は友人や知人しか見ない」と回答した!?
まず、「いや、さすがにそれはないでしょう・・・。」と思ったわけです。
すみません。少し記事化が遅れてしまいましたが、12/19(木)公開のIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の調査を見ての記事です。「2013年度 情報セキュリティに対する意識調査」報告書
私の感覚としては、該当する人はいても5~10%くらいではないかと思っています。(※ 感覚値です)
どういう論理(アンケート構成)でそうなっているのでしょうか。詳細をみてみましょう。
調査概要
(1) | 調査方法 | ウェブアンケート |
(2) | 調査対象 | 13歳以上のPCおよびスマートデバイスのインターネット利用者 |
(3) | 事前調査期間 | 2013年9月21日~9月28日(利用デバイスに関するスクリーニング調査) |
(4) | 本調査期間 | ①2013年9月28日~9月30日(情報セキュリティの倫理に対する意識調査) |
②2013年10月4日~10月6日(情報セキュリティの脅威に対する意識調査) | ||
(5) | 有効回答数 | パソコン:5,160名、スマートデバイス:2,066名 |
事前に利用デバイスを調査し、倫理と脅威に分けて意識調査を行っています。
利用デバイスの調査は、両方使う人は使う時間の長い方に振り分けています。
プレスリリースと別紙には詳細が載っていないので、「2013年度 情報セキュリティの倫理に対する意識調査」報告書を確認すると、詳細が載っています。
質問構成
Q13 がこの質問にあたります。
Q13 ご自身の個人情報やプライベートな情報を公開したことがある方にお伺いします。公開に際して、どの様に思いましたか。(お答えはいくつでも)
「ご自身の個人情報やプライベートな情報を公開したことがある方」という、前段の質問を受けての回答ということがわかります。
前段の質問、
Q12 ご自身の個人情報(氏名、住所、生年月日、電話番号)やプライベートな情報(学校または所属組織、自分が写っている写真や動画、学歴、出張や旅行先など)をインターネットに公開をしたことがありますか。公開したことのない情報のうち、「この情報は絶対に公開したくない」と思うものがあれば、「絶対に公開したくない」にてすべてお選びください。 ※この設問はタテ方向にお答えください。※前問の回答内容によっては「絶対に公開したくない」の項目のみ表示される場合がございます。
です。長いので要約すると、FacebookやLINEなど、半年以内に使っているサービス(Q11で回答しています)で、個人情報に当たる情報を公開したことがありますか?という設問です。
Q12、13と続けると、
FacebookやLINEなどに個人情報に当たる情報を公開したことがある人は、公開に際してどのように思いましたか?
という質問になってしまいます。これは妙です。
ここで、半年以内に利用したサービスの選択候補は以下です。
- mixi
- LINE
- 自分のブログ(アメーバブログ、FC2ブログ、はてなダイアリーなど)
- 掲示板(2ch掲示板、Talk Me、Yahoo!掲示板など)
- 動画サイト(YouTube、ニコニコ動画など)
確実とは言えませんが、4~7のサービスはともかく、1~3のサービスであれば、セキュリティ・公開範囲をしっかり設定しておけば、「友人や知人しか見ない」と考えてもあまり違和感はありません。実際には、一度公開してしまった情報はいくらでもコピーできるため、意図せず他人に伝えられたり、知らないところに転載されたりする可能性はあります。ただ、普段しっかりと管理した友人・知人のみに絞った公開範囲での投稿に対し、「公開したときどう思いましたか?」と聞かれたら、「友人や知人しか見ない」と答えそうです。家族にLINEで写真を送るのに、必要以上に警戒するでしょうか?(家族でも意図せず出回ることはありますが・・・)
ちなみに計算すると、
「友人や知人しか見ない」
全体:1,415人のうち、57.1%≒808人
「LINE」で「公開したことがある」
全体1,341人のうち、65.0%≒872人
LINEだけで超えてしまいます。FacebookやMixiなどにも合わせるとさらに+1,300人程になり、2,200人です。1~3のサービス利用者だけで十分に構成できそうな割合です。
4~7のサービスの「公開したことがある」人の合計は1,140人程です。この半分はTwitterの利用者です。
割合だけで考えると、2/3くらいは上記で説明した流れで「友人や知人しか見ない」と回答した可能性も考えられます。(正確なことはこれだけではわかりません)
利用サービスと、情報倫理の関係をこの質問によって導こうとしたのかもしれませんが、最終的にそういう数字が示されていないので微妙なところです。整理せずに設問を混ぜてしまい、数字だけが目立ってしまった結果になってしまったというところでしょうか。アンケートはむずかしいですね・・・。
最終的に、どの程度が「友人や知人しか見ない」と考えているかは算出できませんでした。残念です。
上記の考察から、1/3程度とすると、19%程度は存在する可能性はありますね。
とはいえ、前述しましたが、
実際には、一度公開してしまった情報はいくらでもコピーできるため、意図せず他人に伝えられたり、知らないところに転載されたりする可能性はあります。
冬休みの時期になってきました。
年末年始、お子様も解放感からリスクのある行動を取りがちです。最近では、ここ数回取り上げている炎上という方面の警戒も必要です。
併せてネット上のリスクについて解説した記事その1、その2もご覧ください。保護者様だけでなく、お子様とも情報共有していただけると、より効果的ではないかと思います。