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SNSリアル・ファイル[1]:高校生のLINE『暗黙のルール』編

今日では10代のスマホ利用者のうち約90%(※)がSNSを使っています。SNSを使うためにスマホを利用していると言っても過言ではありません。(※出典:総務省情報通信政策研究所「平成 27年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書 」P.58参照)

 

筆者は仕事柄10代後半の青少年の「日常」に接していますが、SNS利用にまつわる「暗黙のルール」に驚くことがしばしばあります。

 

 

今回は《SNSリアル・ファイル》と題して、9人の高校生との対話から浮かび上がってきたLINE『暗黙のルール』をレポートします。

 

暗黙のルール:その1「LINEトーク1回分の文字数」

 

 

「トーク画面で3行にならないくらいが基本!だいたい1回15文字くらいで、書きます。でも、相手に気を使う時は、言いたいことが一方的にならないように、多くても3回以内で送るようにします。」

実際に個人やグループのトーク画面を見せてもらってまず驚いたのが、彼/彼女たちには「文章を改行する」という感覚が希薄である(というか、ほぼない!)ことです。

脱メール世代の特徴なのか、伝えたいことは(なるべく短文にしつつも)1回のトークで書いたり、相手が読みやすいよう内容によっては箇条書きにするといった「レイアウト」はほとんど見られず、読点「、」が入りそうなところ(15文字程度)で迷いなく送信しているのです。

 

Q:人数にもよると思うけれど、短文で会話をしていると、意見や話題が前後したりして、わかりにくくなったりしないの?

「というか、LINEやTwitterでやり取りしていて長文になることってほとんどない。そもそも友達のメールアドレスや電話番号を知らないし、知っていても電話帳を開いてアドレスを選んで書いて送るって、いちいち面倒だから使いません。」

このように、彼/彼女たちはある程度まとまった文章のやり取りに慣れていないどころか必要としていないことに驚きました。

 

Q:ちなみにTwitterでは1ツイート最大何文字まで書けるか、知っている?

「140文字ですよね?それは知っています。でも、続けて140文字も書くことなんて、まずありません。」

 

Q:へぇ!それじゃあTwitterとLINEはどのように使い分けているの?

「使い分けというか、暇な時はLINEとTwitterを両方開いてみて、Twitterだとタイムラインを見ながら数分以内にツイートしている友達がいたらまずリプライを飛ばしてみて、すぐに返事が来たらしばらくやり取りを続ける感じ。そのあと、LINEに移動することが多いです。」

「あと、LINEで暇な相手を探す方法として、『おーい』と送って『どうしたの?』という返信が届いたら、自分もスタンプなどで素早く返信します。その後、相手からも素早く返信が来たら、相手も暇だと判断してトークを続けます。」

少し前であれば『かまちょ』(暇でかまって欲しがっている人)は、LINEの『個チャ』(1対1のチャット)や『グルチャ』(グループ=複数人でのチャット)に『スタ爆』(LINEのスタンプを連続して送信する行為)し、反応があった人とトークをするという流れがあったのですが、最近では『スタ爆』はただウザイだけの行為であり、敬遠されているそうです。

 

暗黙のルール:その2「朝起きて『未読』が溜まっていた場合の対処法」

 

「うわっ!未読通知があちこちのトークに…」

「全部読むのは面倒だけれど、未読通知は消したい…」

未読通知だらけの画面

 

 

そこで編み出された数々の方法!

 

Q:トーク画面を開いて閉じれば、すべての未読トークを読まなくても『既読』が付き、通知を消すことができるよね?

「参加人数が多いグルチャであればその方法を使って、未読通知を消します。参加人数が多い場合は誰が既読かなんてほとんどバレないから。」

Q:未読だったトークには、あとでスクロールして一通り目は通すの?

「特に興味がないグループや個人でも暇つぶしだったり、返事に迷う場合はしません。『既読スルー』に見せかけて未読のままなんてことも、よくあります。あとで時間ができた時に返事をしようと思った人には、ピン留めをしてわかるようにしています。」

「ピン留め」をすることで、メッセージが画面外に消えてしまうのを防いでいるという

 

 

Q:もしかしたら緊急な用事だったかも、とは思わない?

「そもそも、LINEで緊急な連絡なんてほとんどないです。緊急な連絡をしたい時は通話します!待ち合わせ場所に友達がいなかったり、親に迎えに来てほしい時とか。」

Q:なるほど。ちなみに、個チャとグルチャでは未読の対応は変わってくるの?

「個チャで未読通知を消すだけの作業(トーク画面を開いて閉じる)をすると『既読』が付いてしまうし、あとでその相手から『なんで返事くれないの?』と言われると返事に困ることもあるので。『既読』を付けないで未読表示を消す方法もいくつかありますし。」

 

 

その方法を具体的に教えてもらいました!

 

①未読通知は消したいけれど『既読』は付けたくない場合

興味のない個チャやグルチャの場合、トーク管理場面で『非表示』に設定すると、未読状態を維持した上で通知数の表示を画面から消すことができる。

 

②『既読』は付けたくないけれど、相手からのトークがどんな感じに終わっているのかを確認したい場合 ※ iPhone6sなどの限定機能

トーク管理画面でアイコンを『長押し』すると、トークの終わり部分(画面に表示される範囲)を覗き見することができる。

既読をつけずに相手のメッセージを確認できる

 

 

以上、高校生のLINE『暗黙のルール』を紹介してきました。
ただし、こうした現象がどれほど浸透しているのか、また一過性のものなのかどうかまでは、今回の取材だけではわかりませんでした。

mixiからSNSを使い続けてきた筆者の世代(20代後半から30代)には、TwitterやLINEが台頭した今でも、メールをはじめBLOGやBBSで慣れ親しんできた文章感覚というものが自然と残っています。だからこそ、今回の取材を通して知った10代後半の彼/彼女たちの感覚は、驚きでした。これは推測ですが、Facebookが高校生に流行らないのも、このような感覚の差異にあるのかもしれません。

また、彼/彼女たちは異口同音に、これらの方法を自らネットで調べて知ったわけではないと話していました。さらに、設定方法や操作についてなど、筆者の質問にも理路整然とした説明を返してくれました。

 

「最近の高校生」と一括りにできる時代ではなくなりましたが、彼/彼女たちの多くがいわば「当たり前」に行っていることが、ソーシャルメディア社会の今後に与える影響は計りしれません。もちろん、良くも、悪くも。

 

今後も継続して、実態をレポートしていきたいと思います。

 

(本記事に掲載されているスマホ画面の画像は、インタビューをした高校生提供のスクリーンショットを、プライバシーを考慮して加工したものです。)

 

 

 

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