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こども任せにする危険 こどもがネットやITに親より詳しいデジタルディバイド

こどもが親よりもネットやITに詳しいことで、危険に直面する確率が高まるような問題が存在します。
この問題の原因は、一言で表現すると、『こども任せにしてしまうこと』です。「よくわからないので・・・」、「子供が要らないと言っていたから」といった理由で、こどもがネット利用をする際に、家庭できちんと対策をしない、こどもの方が詳しいので、基本的にこどもに任せてしまう、という状態です。

きちんと知識を持って対策を行ったときと比較して、危険に巻き込まれる可能性が高まります。または危険に遭遇したときに、まったく守るものがなく、この点でも『こども任せ』になります。危険に直面した際に、そのことを親や学校など必要な相手に相談してくれれば、被害を受ける確率は低くなるでしょう。

しかしながら、以前、『遺書の共通点 いじめ自殺』でご紹介したようなケースもあります。親との信頼関係があるからこそ、「心配かけたくないので言わなかった、隠していた」というケースです。
こうなってしまうと、対応以前の問題で、『気づく』ことすら難しくなってきます。

 

危険が高まるケース

では、家庭できちんと対策をせず、『こども任せ』にした場合どうなるか、さまざまなケースを例に見ていきましょう。

端末に関するケース

  • こども用携帯を利用しない

    小学校低学年のこどもの場合、『こども用携帯』を持たせるべきでしょう。インターネットに接続する機能が無いとか、電話を受けることしかできない、決まった相手にしか電話が掛けられない、といった、機能制限というより、用途をかなり限定した携帯です。
    このような『こども用携帯』を持たせず、小学校低学年からスマートフォンを与えていたらどうでしょう?例を挙げるというか、あらゆる危険に直面します。それを自分自身で回避する能力は、無いと言ってよいでしょう。

  • 携帯電話・スマートフォン以外は野放し

    「こどもにスマートフォンが欲しいと言われて断ったが、代わりに買ってあげたゲーム機や音楽プレイヤーで満足しているようだ。」という保護者の方、それは危険かもしれません。
    インターネットに接続できるのは、携帯電話・スマートフォン、タブレット、パソコンなどの、いわゆる”IT機器”だけではありません。音楽プレイヤー(iPod touch など)、ゲーム機(Nintendo DS、Wii、Playstation 3、PSP など)、テレビでも、インターネットに接続できます。
    極端な言い方をすると、液晶画面の付いている電子機器、画面と接続できる電子機器の多くは、ネットに接続できる可能性が高いと思ってもよいような状況になっています。
    こどもはそういった機器で、ネットに接続しているかもしれません。

 

フィルタリングの利用に関するケース

アクセス可能なWebサイトを制限し、危険なサイトや情報に触れさせなくする、”URLフィルタリングソフト“は有効な対策です。フィルタリングには、携帯電話事業者(以降、携帯キャリア:NTT Docomo、au、Softbank など)が無償で提供するフィルタリングサービスと、有償で各自購入して適用するフィルタリングソフト(デジタルアーツ i-フィルターALSI ファミリースマイル など)があります。

  • そもそもフィルタリングを利用していない

    「よくわからないので・・・」、「子供が要らないと言っていたから」といった理由で、携帯キャリアのフィルタリングも、有償フィルタリングソフトも利用していない場合があると思います。1つ前の記事で解説した『平成25年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)』によると、フィルタリングの利用率は、55.2%です。実に半分近いこどもが、この状況です。
    フィルタリングが適用されていない場合、自由に好きなWebサイトにアクセスでき、出会い系、架空請求、有害情報へのアクセスなど、直面するリスクは多数にのぼります。

  • 携帯キャリアのフィルタリングを利用しているが、Wi-Fiは利用可能

    携帯キャリアのフィルタリングは、携帯キャリアの通信網、いわゆる『携帯の電波』を通じてインターネットに接続する場合に適用されるフィルタリング機能になっています。これを有効にしていても、家や外で利用できるWi-Fi(無線LAN)に接続してしまうと、フィルタリングは適用されません。自由に好きなWebサイトに接続できるようになってしまいます。

  • 家のパソコンにフィルタリングを利用していない

    最近はスマホスマホと騒がれるので、意外と忘れがちかもしれません。ご自宅でお使いのパソコン、タブレットなどに、フィルタリングを利用していないということはないでしょうか?ご家族で共用で使っているのであればなおさら、こちらにもフィルタリングを利用しましょう。特に家でしか使わないと決めているタブレットは、パスワードロックなども掛けず、気づかぬうちに、こどもが自由にできる機器になっているかもしれません。

  • フィルタリングの解除(一部解除)

    リテラシ・モラルの向上と守り方

    リテラシ・モラルの向上と守り方

    こどものITリテラシが高まるにつれ、フィルタリングの解除をお願いしてくると思います。SNS、ゲーム、ECサイトなど、さまざまかと思います。許可していいかどうかを話し合い、高校生くらいであれば大丈夫と思うかもしれません。それは悪いことではないと思います。
    しかし、解除した瞬間から、危険への対処は『こども任せ』になるという認識をしてください。制限を解除していく段階では、Filiiなどの「使いながら守る仕組み」が有効です。利用しながら、危険と思われる活動のみを通知します。

 

機能制限の利用に関するケース

最近は多くの機器がはじめから備えている『ペアレンタルコントロール(親による管理)』機能、ミマモールなどに代表されるスマホの機能を制限するアプリなどで、機器の持つ機能の一部を利用できなくすることです。

  • 機能制限しない

    こういった仕組み、初めてお聞きになる方もいるかもしれません。また、「設定が難しい」、「SNS、ゲームができなくなるから解除してと子供に言われた」などの理由で、機能制限を利用しないケースがあると思います。
    「設定が難しい」という点は、運営会社などに問い合わせれば解決できます。恐らく親切に回答くださり、その後の改善などにもつながるでしょう。
    「SNS、ゲームができなくなるから解除して、と子供に言われた」という場合は、スマホアプリの利用可否を個別に設定できる、ミマモールなどを利用しましょう。ブラウザを利用する場合は、フィルタリングを併用する必要がありますね。

  • アプリのインストール制限をしない

    主にスマホの話になりますが、スマホアプリのインストール(スマホ上で利用できるようにすること)を制限することができます。自由にインストールできる場合、いくつかの危険に直面する可能性があります。
    ・不正なアプリを導入してしまい、個人情報漏洩につながる。
    ・コミュニケーションアプリで、出会い目的で利用し、性犯罪や美人局(つつもたせ)などの被害に合う。
    ・基本利用無料のゲームアプリなどで、高額課金をしてしまう。
    などが考えられます。

  • Wi-Fiの利用制限をしない

    Wi-Fiが自由に利用できる場合、フィルタリングのところで説明した危険だけでなく、別の危険に直面する可能性があります。
    一歩家の外に出ると、Wi-Fi電波はいたるところに飛び交っています(家の中でも見えますが)。”野良AP”、”野良ポ”と呼ばれるWi-Fiがあります。セキュリティが掛けられておらず、誰でもアクセスできる状態のWi-Fiを指します。この中には、悪意を持った者が公開しているケースがあり、このWi-Fiを経由してインターネットに接続することで、利用機器内の情報や、インターネットアクセスの情報を抜き取られてしまう、という危険があります。
    また、不正なアプリとして、Wi-Fiのセキュリティを突破して勝手に利用してしまうことを可能にするアプリがあります。これは不正アクセスであり、犯罪です。こどもの中には、このようなアプリを利用してインターネットに接続しているケースもあるようです。

  • カメラ機能制限をしない

    スマホやゲーム機など、こどもでも手軽にカメラを利用し、いつでもどこでも撮影できることが当たり前になってきました。科学館や水族館など遊びに行くと、小学校低学年のこどもがNintendo 3DS等のゲーム機で写真を撮って回っているのを、よく目にします。カメラ機能を制限することは反発が強いかもしれません。しかしながら、本メディアでもたびたび紹介している、以下のような危険に直面する可能性があります。
     ・Selfy、もしくはSelfie(セルフィー):自画撮りのことで、自分自身を撮影することを意味します。過激な画像を撮り、ネット上にアップすることがあるため、問題視されています。
     ・Sexting(セクスティング):自画撮りした画像などを恋人などの親しい人に送る行為です。
     ・リベンジポルノ:Selfy、Sextingなどの延長線上に存在する危険です。交際が破局した際に、Sextingなどで得た過激な画像をネット上に流出させることで、復讐するという行為です。

    このあたりは、リベンジポルノとSexting(セクスティング)で詳しく説明しています。
    また、写真や動画が持つ情報量は、想像以上に膨大です。ネット上に公開された何枚かの写真とSNSでの活動データを組み合わせることで、名前、住所、通学している学校、塾など、さまざまな情報を得ることが可能です。何かをきっかけに、実際にそのようにして、ネット上では”個人情報が暴かれる“ということが起こります。ネットに匿名性は無いと言ってよいでしょう。

利用方法に関するケース

  • 使う場所を限定しない

    使う場所を限定しない場合も、さまざまな危険に巻き込まれる可能性があります。例えば学校に持って行って授業の妨げになったり、外出中に野良ポに接続してみたり、夜中に自室で遅くまでチャットしている、などのことが起きます。
    とは言え、携帯電話やスマホなどは連絡手段として持たせているということは多いので、「リビングのみ」というのは難しいでしょう。他の対策と併用する必要がありますね。

  • 利用時間帯を限定しない

    “SNS疲れ”などが叫ばれる昨今、夜中までチャットをしたり、ゲームをしたりといったことが起きています。睡眠時間が減り、学習にも健康にも悪影響です。「寝る前はリビングの充電器に接続して、部屋には持っていかない」などのルールが有効ですね。

  • 課金を禁止しない

    こどもはクレジットカードを持っていませんが、『(携帯)キャリア決済』という方式で、携帯電話利用料と併せて請求する課金方式が利用可能です。キャリア決済をできないようにしておく、請求額の明細を見る、などの対応が必要です。

  • クレジットカード情報を教えている

    ネット上での決済は、クレジットカード決済が一般的です。こどもがゲームなどをする際に、「お小遣いで返済する」などのルールで、クレジットカードを利用して小額決済しているケースがあると思います。これは、高額請求につながる可能性があります。
    大手ゲーム関連会社などは、高額請求にならないように対策を打っていますが、そうでないゲームもたくさん出回っています。クレジットカード情報をこどもに教えていたケースで、その情報が友達にまで伝えられ、複数人の友達がそのクレジットカードを利用していたというケース(請求額150万円)までもあります。
    また、リビングに設置しているタブレット端末やパソコンなどについても注意が必要です。クレジットカード情報が保存され、安易にアプリなどを購入できる状態になっている可能性があるためです。
    どうしても必要な際には保護者自身が操作し、こどもにはクレジットカード情報は教えないようにした方がよいでしょう。また、入力したクレジットカード情報が保存されないように注意しましょう。

 

上で説明した状況は、逆に考えれば、一定の解決策を示していることになります。つまり、機能制限やフィルタリングなどの「使わせない仕組み」と、Filiiなどの「使いながら守る仕組み」を利用し、この状況にならないようにすれば、多くの危険からこどもを守れる確率が高まるということです。

Filii(フィリー)

十分なITリテラシと、情報モラルを身につけることは、大人でも簡単なこととは言えません。
特に使い始めの小学生、中学生などでは、対策をまったく行わず、対処しないのでは、被害を受ける確率は跳ね上がり、その被害も大きくなる可能性があります。

 

ちなみに、このような世代間でのIT知識の差を、情報格差(デジタルディバイド)と呼びます。

セミナーや本メディアのような情報源を有効活用し、保護者も正しい知識を身に付けて格差を埋め、お子様を守る対策をしっかり実施しましょう。

 

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