ネット上の危険って何があるの?その1
そもそも、ネットを利用する上で、こどもや保護者の方々が注意を払うべき危険・リスクには、どんなものがあるでしょうか?今回はこのことについてまとめてみたいと思います。長くなるので、複数回に分けて掲載いたします。
リスクの解説として、
- どんなリスクか
- どういった実害があるのか
- 実際の事件や事例
を同時に紹介していきたいと思います。
対策も挙げたいところですが、「これをやっておけば安心!」という単純な話ではないので割愛します。対策については、後日『ネット上の危険対策まとめ』を作成し、ご紹介したいと思います。
実際、たくさんのリスクがあります。完全網羅できるかという話はありますが、ここに挙げるリスクをご認識いただくだけでも、危険意識は高まるのではないかと考えます。
1.ネットいじめ
- どんなリスクか
前回の『ネットいじめとリアルのいじめ』でも紹介した、ネット上でのいじめです。ネット上で発生し、リアルへ波及するものと、リアルのいじめがネットに持ち込まれるものがあります。
- どういった実害があるのか
リアルの「いじめ」の持つ実害だけでなく、ネット上特有の実害があります。ネット上でいじめの経緯は「記録」されるため、現場(ウェブサイト)を見に行けば、その状況をいつでも確認することができます(できてしまいます)。これがログインなど必要ないオープンなサイトの場合、GoogleやYahoo!などの検索にかかるようになります。サジェストと呼ばれる、検索キーワードの候補を出す仕組みで、「人名+いじめワード」という候補が提示されることもあるようです。
- 実際の事例
実際の事件としては、2008年10月のさいたま市で中3の女子生徒が自殺した事件、2008年5月の北九州市で高1の女子生徒が自殺した事件などがあります。海外ではさらに多くの事件が既に起こっていることについては、前述の通りです。
2.犯罪誘引
- どんなリスクか
気付かぬうちに犯罪行為に加担したり、無理やり協力させられたりしてしまうことです。悪意のある大人が誘いこむこともありますが、犯罪とは知らずに、友達と一緒になって行ってしまう行為などもこのカテゴリに挙げられます。また、比較的しっかりした子供や、ネットの危険を知り、危機感を持ったこどもでも、いざこういった場面に直面すると、適切に対応できるとは限らないという怖さがあります。
- どういった実害があるか
悪意のある大人に誘いこまれるものは、詐欺や不正アクセスへの加担、薬物の仲介や、売春の斡旋などがあります。友達と一緒になって、というものは、ネットいじめに近いものがあります。ネット上での名誉棄損や侮辱などです。また、友人のネットゲームやWebサイトのアカウントとパスワードを聞き出し、なりすましてアクセスする行為などがあります。これは不正アクセスという、犯罪です。他に、最近よく“炎上”する、Twitter等での不法、迷惑画像投稿などです。「バカッター」、「バイトテロ」などと呼ばれます。故意に営業を妨害した場合、刑事責任が発生します。これらは犯罪行為です。
- 実際の事例
犯罪への加担として最近注目されている問題は、振り込め詐欺への加担です。「受け子」や「出し子」と呼ばれる、お金を受け取る、口座から引き落とす役で、未成年が加担させられているそうです(中にはアルバイトとして加担している者も・・・)。 かなり愕然とする規模で、2013年上半期で、振り込め詐欺で摘発されたのは約830人。そのうちの約140人が未成年者だったそうです(奈良新聞より)。 また、「バイトテロ」に関しては、これにより倒産した会社もあります。
3.犯罪被害
- どんなリスクか
犯罪の被害者となることです。様々な被害があります。
- どういった実害があるのか
特に被害の多いものは、性犯罪(売春、レイプ、児童ポルノ)、恐喝(ゆすり)、詐欺などが挙げられます。被害数・検挙数は変化はあるものの、減少傾向にはありません。以前紹介した『警察庁のサイバー犯罪データ』に具体的な種類や検挙件数があります。
- 実際の事例
犯罪被害の事例はかなりの数であり、ニュースで毎日のように見ると思います。性犯罪や恐喝に関連する言葉として、Sexting(セクスティング)という言葉ができています。裸の画像などを送らせることですが、これがその後の恐喝などに利用されます。最近は過去の交際相手の写真などを利用して迷惑行為を行う、リベンジポルノというものも出てきています。
犯罪誘引/被害に関しては、多くの場合、「悪意を持った知らない大人」と知り合うことが被害の引き金になっているという共通点があります。ネット上での交流はそのつながりを作ることが容易であり、気軽に行うことができます。
つながりを作ること自体はすばらしいことだと思います。ただ、その中に「悪意を持った大人」が存在するという危険認識を持つことが必要だと思います。
次回に続きます。