出会い系はアプリへ 捜査難航「援デリ」の実態
MSN産経Westに、「少女蝕む裏風俗「援デリ」の空恐ろしき実態…全国で横行、暴力団魔の手「援デリ狩り」の危険も」(2014/04/02の記事)という記事が出ていました。出会い系や、売春などに関する事件です。
この記事から、『援デリ』と『援デリ狩り』という、聞きなれない言葉と、その実態をご紹介したいと思います。
スマホアプリで援助交際デリバリー
まず、『援デリ』について。『援デリ』とは、援助交際デリバリーのことで、スマートフォン用の出会い系アプリで援助交際の客を募る行為です。
以前より本メディアでも取り上げているように、「出会い系サイトでの被害は減少しているが、出会いの場は一般のコミュニティサイトやスマホアプリに移っている」という実態があります。まさに今回のMSN産経Westの記事は、出会いの場がスマホアプリに移っているという事実そのものです。
兵庫県警は2~3月、援デリを運営し、女子中学生を売春させたとして、児童福祉法違反(淫行させる行為)と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(周旋)などの容疑で、神戸市須磨区の無職、中屋崇志被告(21)ら男4人を逮捕した。
(MSN産経West記事より引用)
この事件では、街中でナンパしたり、知人の紹介を受けるなどして、18歳未満の中高生らを勧誘しました。スマホアプリの「ひまトーーク」にて、売春相手の客を募りました。中高生本人が実行する形式ではありませんが、出会いの場はスマホアプリでした。売春を斡旋する者、買春をしようという者は、スマホアプリを利用するようになってきています。
さらに、この手法には続きがあります。
このスマホアプリ内で、客を募るのですが、その場では売春の交渉をしません。掲示板では、隠語などを用い、売春だということを明確には示しません。「¥3」「30K」(ともに「現金3万円」の意味)、「困ってる。サポ希望」、「割り切ったお付き合いできる方」などの表現です。ここで、LINEやカカオトークなど、スマホの無料通話アプリのユーザIDを交換します。
この先はこれらの無料通話アプリで直接の交渉し、連絡を取り合って会うようです。
以前、ネットいじめや削除依頼をテーマにした記事で記載したように、LINEやカカオトークなどのアプリ内の交流は、外からその交流内容を知る術が一切ありません。まさに危険の温床になっているという実態です。
アプリ事業者は、内部的にある程度の監視を行っているのかもしれません。しかし、事件は起き続けています。
横行する援デリ狩り
続いて、『援デリ狩り』についてです。援助交際デリバリー狩りです。
『援デリ』で会った客が、実は暴力団だった、というケースがあるようです。『援デリ狩り』は、
「売春は違法。ばれたくなければ金を払え。払えなければ稼げ」
などと脅し、強制的に配下の売春婦にする行為です。援デリ自体が問題ですが、暴力団が絡むと、問題はより複雑化するでしょう。抜け出せなくなり、家族や友人を巻き込んだり、最悪命の危険まで無いとは言えません。
昨年夏には、広島県でこの援デリ狩りが多数発生し、逮捕に至った事件がありました。
暴力団の立場からすると、簡単に援助交際する女性を見つけられ、かつ弱みが握れます。今後増えていく可能性がある、凶悪な犯罪であると考えられます。
捜査関係者の語る、捜査の難しさ
捜査を難しくする点は、以下の3点のようです。
- 援デリは場所にこだわらない。全国の客が相手。
- 警察も広範囲な捜査が必要なのだが、少ない人員の中で東奔西走しなければならない。
- 上記2点から、1つの事件に多大な時間がかかる。
本当はもっと取り締まりたいのだが…
確かに逮捕するにはその場に行かないと行けないので東奔西走は必要ですが、捜査段階ではもう少しIT的なアプローチ、見解があっても良いような気がします。捜査上明かせない、ということでもないように見えます。
従来の出会い系サイト・掲示板での問題は、スマホアプリに移りました。サイトなどはアプリと比べると、比較的監視が容易です。アプリに移り、さらにはLINE、カカオトークなど、外からまったく見えない無料通話アプリの中でやりとりが行われるため、確かにアプローチが難しくなってきていると思います。
いたちごっこ的なところがありますが、進化する犯罪の手口に、捜査やセキュリティサービスは常に対応していく必要があるでしょう。