出会い系サイト被害減少?被害現場はコミュニティサイト、そしてアプリへ・・・
以前紹介した警察庁サイバー犯罪データを引き合いに、出会い系の被害と検挙件数、そして出会い系の現状について解説していきたいと思います。
H25年9月掲載のデータ、平成25年上半期の出会い系サイト等に起因する事犯の現状と対策について(PDF)を参照しています。(記事作成時点で最新のもの)
1枚目の、H20年~24年の出会い系サイトおよびコミュニティサイト(※)に起因する被害児童数等の対比を見てみます。
※コミュニティサイトとは、SNSをはじめ、掲示板やチャット(文字による会話)などを用いて、交流・情報交換を行うコミュニケーション用のWebサイトのことです。一般に、特に有害なサイトではありません。
H20年以降、出会い系サイトでの被害児童数と検挙件数は減少しています。これは、H20年に行われた『出会い系サイト規制法』の改正により、禁止誘引違反者検挙や無届サイトの取締りなどの効果が出ていると考えられます。
それに併せて、H21年、22年にコミュニティサイトでの被害児童数、検挙件数が増加しています。出会い系の被害現場が、出会い系サイトから、特に有害なサイトではないコミュニティサイトに移ったということです。
検挙件数はH22年以降減少しています。
2枚目は、H24年上半期とH25年上半期の比較です。出会い系サイトでの被害児童数はだいぶ少なくなってきています。検挙数も減少傾向です。
コミュニティサイトでの被害児童数、検挙件数が増加していますが、こちらは、
無料通話アプリのIDを交換する掲示板に起因する犯罪被害により、前年同期と比較して増加。
という説明になっています。
全体としては、『被害児童数、検挙件数ともに減少傾向である』という説明です。
ですが、これもまた被害現場が移ったということに過ぎません。
次の被害現場は『出会い系スマホアプリ』
『出会い系スマホアプリ』とは、スマートフォン用の出会い用アプリケーションです。
現在これらは厳しく規制されておらず、年齢認証の画面等を入れているも、形式的なものが多くあります。キャリア(携帯電話提供会社)により、年齢認証の仕組みが提供されるようになりましたが、これを利用しておらず、画面上で「成年です」というような選択肢を選べば利用可能なアプリがいくつもあります。このように、対策が追い付いていないスマホアプリに、フィールドを移しているのが現状と言えます。
既に被害も報告されるようになってきています。
H25年9月の集計データであるため、出会い系スマホアプリについてはまだデータが揃っていないと考えられます。今後スマホアプリが主戦場であることは把握し、対策を進めているでしょう。次回のデータにはスマホアプリのデータが載ってくると思います。
なお、被害の内容は、ほぼ『児童買春』、『児童ポルノ法違反』、『青少年保護育成条例違反』です。ざっくり言うと、未成年との性行為です。『出会い系』であり、目的(結果としての被害)はこの点に集中すると言えます。
出会い系スマホアプリへの対策
お子様がこの出会い系スマホアプリを利用し、被害に遭うのを避けるために、保護者としてできることは以下の点と考えます。制限度合いの高い順に記載します。
- スマートフォンではなく、フィーチャーフォン(従来の携帯電話)を持たせる。
- 機能制限ソフト等により、お子様のスマートフォンを機能制限し、『出会い系スマホアプリ』をインストールできないように設定する。
- お子様が利用しているスマートフォンアプリを把握し、『出会い系スマホアプリ』のインストールを警戒する。
- 本ブログや情報モラル教育セミナーなどを通し、親子で知識と危険意識を持つ(子供自身が危険に近づかないようにする)。
現在は一部のコミュニティサイトまでしか対応できていませんが、弊社で提供しているサービス、Filii(フィリー) としては「(スマホ等を)使いながらも守れる仕組み」を目指しているため、3番・4番での対応を検討しています。
なお、『出会い系スマホアプリ』が被害現場だとは記述していますが、もちろん全てではありません。運営側でできる最善の努力を尽くし、きちんと年齢を確認し、利用者や利用状況の管理を行っているアプリ運営者はあります。
本ブログで特に啓発したい、「子供を被害から守る」という点においては、お子様が利用するアプリではないことは明白です。保護者のみなさまにはこの内容を認識していただき、対策を検討・実施いただければと思います。