子どもに見せてはいけない!YouTubeのエルサゲートを知ってますか?
最近ではスマホデビューはYouTubeからという子どもが増えています。たくさんの楽しい動画が無料で見ることができるのですが、一方でリスクもあります。今回はそのリスクの一つ、「エルサゲート」について株式会社マモル 代表取締役社長の齋藤有子氏に紹介していただきます。
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皆さん、エルサゲートってご存知ですか?
先日、保護者が集まる場で小学1年生のお子さんを持つお母さん6人に「YouTubeのエルサゲートを知っていますか?」と聞いたところ、半数以上の方が知りませんでした。私にも2人の子どもがいますので、小学校1年生の息子の友達のお母さん6名に聞いたところ全員知らず、小学3年生の娘の友達のお母さん6人に聞いてみたところ、知っていたのは6人中1人でした。
エルサゲートについては、数年前からネットで話題になっていますが、まだ知らない方も多いと思うので今回は、「エルサゲートとは何か?」「親はどのように注意すればいいのか」を一緒に考えていきたいと思います。
エルサゲートとは?
YouTubeでアンパンマンやミッキーマウス、アナと雪の女王のような子どもに人気キャラクターの動画と見せかけて、子どもに不適切な内容を見せる悪質な動画です。
キャラクターは偽物の場合が多く、一緒に見ていればおかしな内容だと気がつくのですが、親の知らないところで動画を見せっぱなしにしていると、子どもが知らないうちに有害な動画を目にしてしまう可能性があります。
不適切な内容ってどんなものがある?
例えば以下のようなものがあります。
1)グロテスク動画、暴力性が強い動画
パッと見ただけだと、人気のキャラクターが出てきて普通のストーリーのように思いますが、途中から子どもに見せるのはふさわしくない映像が流れます。例えば、キャラクターの首を切ったり、流血したり、ナイフで刺すような残虐なシーンが流れたり、キャラクターの顔にブツブツができたり、ウジ虫のようなものが湧いたりします。
どのようなストーリーかというと
・マリオが仲間たちとカーレースをしている。最初は普通のレースだが、途中からお互い攻撃しはじめ、顔にガラスが刺さったり、さらし首にしたりと子どもにとっては衝撃的であろう映像が流れる
・ドラえもんとのび太君がでてきて、最初は普通に話しているが、最後は街の中で、切り合いになり街中が血の海になる
また、本来正義の味方であるはずのアンパンマンが子どもに暴力をふるったり武器を使ったりと、暴力行為を行っているものもあります。
恥ずかしながらこれらの映像は、近所の5歳の男の子から「これ面白いよ」とオススメされて知り、こんな動画を見てるのかと大変驚きました。
2)アダルト動画
キャラクター同士がキスをしたり、服を脱がせたり、それ以上の行為を行ったりと子どもがみるにふさわしくない内容がつづくものです。
パターンとしては、アナ雪とスパイダーマンが多いようです。
3)マナー違反動画、いたずら動画
キャラクターが飲酒をしたり、人の顔に何かをぶつけたりと子どもに真似をしてほしくないようなものもあります。
人気アニメのキャラクターが、エスカレーターのてすりを走り、最後には死んでしまうというストーリーのものもありました。
不適切の程度は、おぶさげのものから大人がみても不愉快なものまで様々で、
大人は「なんだこの程度のものか」と思うかもしれませんが
まだ物事の判断ができない子どもには見せるべきではありません。
今回はキャラクターアニメの例を書きましたが、キャラクターに仮装した大人が
アダルト行為や危険行為を行う実写版の動画も多数あります。
気が付かずに見せてしまったママ達の声
多くの場合、保護者が上記のような不適切動画の存在を知らずに、子どもがYouTubeで見ているのをみつけて初めて知ったという方も多いようです。
未就学児~小学2年生のお子さんをもつお母さん方に「お子さんが不適切動画をみていて驚いた経験はありますか?」聞いたところ、約7割のお母さんが「ある」と答えました。
「人気アニメをみていたのでそのままにしていたのですが、覗いてみるとなんだか変な動画が流れていて、びっくりしました。」
「子どもが首が飛んだり、血の海になるような動画をじーと見ていたので怖くなりました。覗いてみた時に人気のキャラクターだったので安心してみせていました。」
「関連動画が出るからか、似たようなものをずっとみていて急いで違うものをみせるようにしました。履歴をみると、かなり沢山みていたようでもっと早くに気がつくべきだと思いました」
これは、YouTubeの機能の1つですが、自動的に関連動画として似たような内容の動画が候補として表示されてしまいます。次の動画を「自動的に再生する」設定になっていると、エルサゲートを延々と見続けることになります。
また見続けていると麻痺してくるようで、「最初はちょっとびっくりしますが、子どももすぐ慣れるのでしょうか。気がついたら同じような不適切な動画ばかりを見ていたのですぐに見るのを辞めさせました。」というお話もありました。
私自身も、2人の子をもつ母親として、エルサゲートの存在を知らずに見せ続けているとしたら思うと、非常に怖くなりました。
中には「YouTubeに不適切な動画があるんですか?」と驚く保護者の方もいます。
YouTubeはきちんと管理され規制がかかっていて、不適切動画は表示されないと思っている方もいるようです。
エルサゲートを回避するには
このような事からわかるように、子どもにYouTubeで動画を見せる場合は、動画の内容を保護者がチェックするのが大事です。しかし、ずっと一緒に動画を見ているわけにはいかないという方も多いようで、各ご家庭工夫をされているようです。
過去に不適切動画を見せてしまったという保護者に「どのような対策をしているか」と聞いてみると
「我が家ではYouTubeをテレビに映してみています。これなら家事をしながらでも内容のチェックができます。」
「YouTubeではなく、YouTube Kidsを使っています。ただ、子どもは不満のようでYouTubeに戻してと言われています。YouTube Kidsでもたまに変な動画が流れることもあり、なかなか完全に排除するのは難しいようです。検索機能をオフにもできますが、それをすると本当に限定された動画しか見れなくなります。」
と見る環境を変えたり
「不適切動画はキャラクターが偽物のことが多いため、おかしなキャラクターがでてきたら『それは偽物だから見ちゃだめだよ』と伝えています。」
「具体的に『血がでたり怖い動画はみたらだめだよ』といってます。」
と子どもに何がいけないものかを教えたりしているようです。
また
「最近はできるだけ、YouTubeをみせずに有料の動画サービスを見せるようにしました。」
のように、YouTubeを見せるのをやめているご家庭もあるようです。有料のキッズ向けチャンネル(amazon prime、Netflix、Hulu)は、運営会社が放送映像の内容をチェックしているので安心感があるのでしょう。
保護者が不安になっている一方で、「ネットは危険な場所だと教えてくれるいい機会だ」とか「親が子どもにYouTubeを見せているのが悪い」いう厳しい意見もあります。ただ、YouTubeで学ぶこと、役に立つことも多いので私は一概に「YouTubeは見せないほうがいい」とは思いません。
見ることを禁止するのではなく、判断がつかない子どもには、親が環境を整えツールを上手に活用していくという事が大切なことではないでしょうか。
参考:エルサゲートの代表的なサムネイル(待受画像)が
海外のwikiに掲載されています。(閲覧の際はご注意ください。)https://en.wikipedia.org/wiki/Elsagate
執筆者プロフィール
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齋藤有子(さいとう ゆうこ) 音響機器メーカークラリオン株式会社にてコンテンツ企画、マーケティングなどに従事した後、株式会社ディー・エヌ・エーにてモバイルコンテンツ企画、プロモーションを経て事業開発ディレクターとして独立。ワーキングマザー向けメディア立ち上げ等に関わりながら、多くの保護者と接点を持つ中で、以前から問題意識のあった「いじめ」を少しでもなくしたいという思いを強め、自身の強みであるwebマーケティングのノウハウをいかし2018年株式会社マモルを設立。いじめを未然に防ぐシステム『マモル』を開発する傍ら、イベント登壇、執筆などを行う。 HP : https://mamor.jp/ |
担当:青木