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軽いネット書き込みが事件を引き起こすことも

「仲間外れ」や「暴行」などの「いじめ」ととられる行為は20年、30年前も青少年の間で存在したことと思います。ただ当時と現代の大きな違いは、今はいつも、隣にネット環境があるということです。

少し前の記事になりますが、中学生、高校生のスマホ保有率については以前の記事でお伝えしております。高校生は8割以上、中学生でも約半数が利用しています。(こどものスマホ・携帯所持率や利用時間等の実態を調査 内閣府

それに伴い、ネット環境のなかった昔と違い、リアルのいじめをネット上にまで持ち込んだり、ネット上での言葉等をきっかけにしたいじめ行為も増えています。かつ、それらは大人の目には露呈しにくく水面下で広がるケースがあり、結果的に大きな事件や犯罪になってしまった例もあります。

情報通信端末の世帯保有率の推移

情報通信端末の世帯保有率の推移(総務省 H25情報通信白書より)

 

平成21年、女子高生2人に対し東京の都立高校1年の女子生徒16歳を含む男女計7人のグループが集団で暴行するという障害事件が起きています。きっかけは被害者の女子生徒がネット上のプロフィールに「グループから抜けたい」「学校に行きたくない」等と書き込んでいたことです。腹を立てた加害者グループが品川区の公園で犯行に及んでいます。

平成20年には高校1年生が死亡する事件が起きています。同様にネット上のプロフィールに書かれた些細な書き込み「ギターをやっている奴にろくな奴はいない」という一言が原因です。「自分のことを言われている」と受け取った加害者が仲間を連れ犯行に及んでいます。

 

ネットの特性を意識する

ネット上では発信する側は「人を傷つけない適切な発言ができる力」が求められ、読み手側は、特に悪意の書き込みに出会った際に「冷静な対処ができる力」が求められると考えます。

  (1)書き込む側の意識

ネット利用の中でも「ダイレクトメール」は相手がはっきりしていますが、「プロフ」「ブログ」に至っては「発信」するようなイメージが潜在的にあると思います。「自分らしさ」を意識するあまり、受け取り手の気持ちを考えるという部分において意識が薄くなりがちです。

また、ネットは「残る」「広がる」という特性があります。それを常に意識することが大事です。例えば設定で「読める相手」を限定していたとしても、読める読者が「撮って残す」「(それを)転送する」ことが出来ます。つまり完全に限定した相手だけに伝えるという事は出来ないという事です。

心理面でも、書き込むだけで「聞いてもらえている」という疑似感覚に陥るのもネットの特性です。見えない相手に話し掛けること、つまりネットに書きこむことは対面で相手の表情が見えないだけに安易に書き込みができ、表情を見ながら話すより時間的にも、メンタル的にも「便利」で「楽」です。そのことが書き込みを自然と誘発するのです。

  (2)読む側の意識

昔は電車に乗り広告を眺めたり、テレビを付けて座って観る時間、新聞を広げるだけの朝や夕の余裕がなければ逆に情報から遅れてしまった時代がありました。今はネットを通じ居る場所に関わらず、テレビも観れ、時間をかけず、人目に触れずに簡単に情報を得ることができます。またテレビで言えば「出演側」「観る側」が分かれていた時代がありましたが、今は誰でもネットを通じ容易に出演者にもなり得ます。どの媒体でも等しく、「受け手」と「送り手」の境目が限りなく無くなりつつあり、それは多種多様な人々との交流も可能にしています。

大変なスピードでそれらが進化していく中、受け取る側(読み手)の情報量に対する「取捨選択力」と「メンタル力」が時間の使い方とあわせて追いついてないと考えます。ここで意味する「メンタル力」とは、分かりやすく言えば「人は人」「自分は自分」と単に情報として割り切り、それを参考に自分らしさを大事に出来る力のことです。「色んな人が居る」「色んな考え方がある」と、上手に情報を自分で咀嚼することです。これを意識し「読む力」を養っていくことが不可欠です。そして、子供にとって「読む力」を養うことは、大人よりも難しく、周囲のサポートが必要です。

 

問題への意識と対策

気づきにくいネット上のいじめを早い段階で発見し、大ごとになる前に対処するには、家族や友人、学校での「日々の会話」が不可欠です。生活圏を共有するにも関わらず、普段あまり話さない相手には、「人には言いづらい悩み」を切り出すことはまずありません。例えば親から子へ、先生から生徒へは日ごろから具体的な事例や自身の体験などを挙げ、積極的に会話を持つことが大事です。「話しにくいことを話す」という行動を、大人側から具体的にみせることも積み重ねであり、これは意識して取り組む必要があります。

ある会社でトラブルが発生した際に、朝礼で社員が繰り返し言い合う「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」などの文言に加え、トラブル以降、「困ってます」「助けてください」という文言を入れた、という事例があります。
具体的に言葉にして、意識的に口に出すことで、いざ問題が発生した際に、話やすくする効果があるかと思います。言葉にし、伝える訓練です。『避難訓練』のようなものでしょう。

 

ネット社会の現代では、大人から率先して、「学校どう?」「友達どう?」「スマホはどう?」「LINEはどう?」など、具体的に「会話する時間を作る」「ネットやスマホなどを話題にする」など、『敢えて口に出す』といった行動を意識的に行うことが大事と考えます。

 

 

 


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