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知らないうちに子どもが「誰か」とつながってる恐怖

お子さんがスマホで知らない「誰か」とつながっているかも?

 

子ども達がスマホを使って何をしているか知っていますか?今回は、子どもが思わぬ使い方をしていて、知らない人とつながっていたというケースについて、株式会社マモル代表取締役社長の齋藤有子氏に紹介していただきます。

 

 

 

気がついたら知らない誰かとメッセージを

小学生の子どもが勝手にSNSで知らない誰かとメッセージのやり取りをしていたら「その親は子どもをよく見てなくて、放置している親だ」と思う方も多いかもしれません。私自身も、自分が子育てをする前は、そうした親を「きちんと子どもを管理できていない」と思っていました。しかし、子どものネットの使い方に悩んでいる親御さんたちは、どちらかというと子育てに熱心で真面目な方が多いように感じます。

 

先日開催した小学生のお子さんを持つ保護者向けセミナー。セミナーに来ていた小学校3年生の娘さんをもつお母さん。そのご家庭では、1台のiPadを家族で共有しており、主に娘さんがリビングで動画をみたり、アプリのゲームで遊んだりしているそうです。

 

娘さんは学校でお友達との仲があまりうまくいっておらず、「学校が楽しくない」と言っていました。が、ある日、とても嬉しそうに「私、ポケコロで友達50人できた」と話してくれたそうです。お母さんはポケコロが分からず、娘さんに詳しく話を聞いてみると、子ども向けのSNSサイトの事でした。

 

ポケコロとは、登録者1,200万人以上の、女性に愛されているキャラクター着せかえアプリです。

 

ポケコロ上で友達を作っていたとのこと

 

「自分の子どもがそんなアプリを使っているなんて思っていなかった」とおっしゃっていました。

 

普段とは違う娘の言動に驚き

さらに、お母さんは娘さんのやり取りの履歴を見て驚いたそうです。そこには、娘さん宛に「何年生?私は○年生。友達になろう」とメッセージが沢山送られてきており、それに対して娘さんは「私は○年生だよ。敬語はやめてタメ語で話そうね」と返信していたそうです。日頃おとなしい娘さんが普段とは違った積極的なコミュニケーションをしていて「タメ語で話そう」と返事をしている。どこでそんな言葉を覚えてきたのか、なんだか自分の知っている娘ではない気がして不思議な感覚だったそうです。

 

やり取りを見ていくと「どこに住んいでるの?」と聞かれ、それに対して「ごめん。住んでいるところはいえない」と娘さんは返していたそうです。小学校のお子さんながらに、住んでいる場所を伝えるのは危険だと感じたのでしょう。地域や住所を教えていない事に「ホッとした」と言っていました。

 

今回は、娘さんが嬉しくて「友達が50人いる」と話してくれたから分かったものの、本人から言われなければSNSでやり取りをしている事はわかりませんし、高学年になると言わなくなるのかもしれません。最初は住んでいる場所を言わないようにしていた子どもも、会話が盛り上がると「会いたいな」とか「信頼できるから住んでる地域くらい言ってもいいだろう」となるかもしれません。

 

SNSは絶対悪なのか?

この事例を聞いた別のお母さんは、すかさず「SNSは絶対ダメ。禁止!」「危ない。そんなもの、やらせたらダメ」とかなり強い口調でお話されていました。

 

果たして、子どもがSNSをやることは絶対ダメなのでしょうか。

 

先ほどのお母さんは、娘さんに「なんでポケコロをやってみたの?」と聞いてみると「アバターが可愛かった」「友達がいっぱいできて楽しかった」「学校の友達は嫌なこととか意地の悪いことを言うけど、ポケコロの人はみんな優しいから楽しかった」と答えたそうです。このお子さんは、日常とは別の楽しい何かを求めていたのではないでしょうか。

 

お母さんは娘さんとこんな約束をしたそうです。

・住んでいるところ、自分の本名は絶対にいわない。
・これ以上友達は増やさない

 

ちなみに、ポケコロ内でもちゃんと注意がされていました。

 

 

保護者向けの安心・安全ガイド

 

子ども向けの安心・安全ガイドもある

利用時のルールについて

私は、家庭内ルールを決める時に、子どもへ「なぜ禁止なのか」を説明することが大切だと考えています。

 

約束を作っても守らない子どもがいるのも事実です。かつて、家庭のスマホ利用ルールを破ってしまった小学5年生の女の子に「なぜ約束を破ったの」と聞いてみると、「ダメと言われて逆にやってみたくなった」と教えてくれました。ダメ、ダメと禁止されると子どもはやってしまいたくなるものです。なぜダメなのか、具体的な実例を交え話し、リスクをしっかり理解させながら伝えることが大事です。

 

例えば、学校名を教えたことで学校の前で待ち伏せされたり、最初は仲良くメッセージのやり取りをしても途中関係がこじれてくると相手が急に豹変し「●●小学校だろう?待ち伏せしてやるからな」と脅された事例もあるようです。

 

LINE株式会社が神奈川県教育委員会と共同で実施した、「青少年のネット利用実態把握を目的とした調査」 でもルールを保護者が一方的に決めるよりも、家庭内で話し合って決めたほうが、子どもがルールを守る割合が高いという結果がでています。

 

 

家庭内で話し合ってつくったルールのほうがルールを守る傾向が見られる

 

参照:「青少年のネット利用実態把握を目的とした調査 平成30年度最終報告書」(LINE株式会社) https://linecorp.com/ja/csr/newslist/ja/2019/205

 

親子で使ってみるという考え方も

我が家では、実際に小学校低学年の娘と一緒にポケコロを使ってみました。アバターをキラキラ飾れることが気に入ったようで、数日は楽しんでいましたが、学校の友達と遊んだり、テレビやYouTubeをみたりするほうが面白かったようで、SNS上での知らない友達とのメッセージのやり取りは続かなかったようです。

 

「子どものSNSの利用は、友達との会話を無くし、コミュニケーション力を弱める」という意見もありますが、私は子どもにSNSを禁止するつもりはありません。禁止にするのは親としては一番簡単な対策となりますが、子どもが隠れてSNSを利用して問題が発生した場合に、親に相談してくれなくなる恐れがあります。利用は許可しつつ、実態を可能な限り理解し、利用状況について子どもが話してくれる関係を築いておくことが大切だと思います。

 

もしお子さんがこの手のSNSを好みそうな性格であれば、子どもが勝手にダウンロードしてハマってしまう前に「こんなサービスもあるよ」と教えて親子で使ってみるのもいいのではないでしょうか。小学校高学年や中学生になると、お子さんによっては一緒に使ってみるという事が難しくなるようです。まだお子さんがネットを使いこなしていない時期はネットリテラシーの教育をするのにふわさしい時かもしれません。

 

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